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バレリーナの証言「羽生選手は上半身が美しい」 8人のアーティストが語った羽生結弦26歳、“表現者”としての実力
posted2021/01/21 17:02
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
AFLO
「本当に何回も曲を、音を、聞いているんでしょうね、これは。一日中聞いているんじゃないかなっていうくらい」
「主のメロディだけじゃなくて、装飾音など小さな音までも感じ取って、手先の動きだとか細かな表現ができる。彼は本当に曲を聞き込んで、身体に染み込ませています」
昨年末の全日本選手権で披露された羽生結弦の2つの新プログラム、『レット・ミー・エンターテイン・ユー』と『天と地と』。その演技内容を発売中のNumber1019号フィギュアスケート特集「銀盤の誓い」で詳細に解説してくれた2人は、別々の取材だったにも関わらず、その途中でまるで示し合わせたかのように同じような趣旨の発言をした。
「自分の作品として滑ろうという思いが……」
1つ目の発言は技術的な解説をしてくれた本田武史氏によるもの、2つ目の発言は楽曲面の解説をしてくれた新プログラムの編曲者で音響デザイナーの矢野桂一氏によるものだ。
「他の選手ももちろん聞いていると思うんですけれど、ここまで音が強くなったりする細かなタイミングのような部分までは意識しきれていないと思います。羽生選手は、何回も音楽を聞き込んでいるのだろうなと思いました。音が強くなるタイミングで手を上げる、などの細かいところを意識して聴き込んでいるので、音をていねいに感じ取って滑っているのが伝わってきました」
本田氏はそう続けたうえで、このコロナ禍のなか、コーチや振付師からも遠く離れていながら挑戦した今回の新プログラムの演技を、「驚きの完成度」と表現した。
一方の矢野氏も、羽生との楽曲作りについてこう話している。