「これを表現したいと思ったことにブレがなく、とことん突き詰めるんです。そして、『ここに音が欲しい』というような希望も、曲が壊れるようなものではなくすごく的確です。自分の作品として滑ろうという思いが伝わってきました」

　驚きの完成度で披露された新たなる“作品“。今回の全日本選手権での完勝は、積み重ねた鍛錬による技術はもちろん、楽曲の1つひとつの音まで聞き込み、身体に染み込ませることで生まれる羽生の表現力が、存分に発揮された結果とも言えるだろう。

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「音楽を大事にして、ストーリーを作って、それを実現させる」というアプローチ、「すごく細かい修正にこだわりながら練習を積み重ねて、表現として伝えてくれる」姿勢を、矢野氏は「僕が理想としていたフィギュアスケートのかたち」とも語っている。

　そうした羽生の作品＝プログラムは、ファンはもちろん、違う分野のアーティストにもインスピレーションを与えている。今回の本誌最新号には、全16ページのブックインブック＜アーティストが語る羽生結弦歴代プログラムの美＞を収録した。

Number1019号フィギュアスケート特集「銀盤の誓い」のブックインブック＜アーティストが語る羽生結弦歴代プログラムの美＞（全16ページ）

アーティストが語る“羽生のプログラムの魅力”とは？

　作曲家やボーカリスト、ヴァイオリニストやピアニストなどの演奏家、女優、バレリーナなど8人の多彩なアーティストが、羽生の過去のプログラムの演技について、独自の視点からその魅力を今回語ってくれている。その発言の一部を抜粋してみよう。