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箱根駅伝「沿道応援」、“85%減”だけど“18万人”をどう見るべきか…東京五輪開催への視線は厳しくなった?
posted2021/01/16 11:01
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Nanae Suzuki
今年も1月2日と3日に箱根駅伝が行なわれ、駒澤大学が最終区間の10区で逆転し劇的な優勝を果たした。初優勝こそかなわなかったものの創価大学が往路を制して2位と大躍進。
有力とされていたチームの駅伝ならではの綾も含め、今年もみどころの多い、印象に残る大会となった。
一方で、往路の2日から、レース後、今に至ってもクローズアップされ、取り沙汰される出来事があった。沿道の光景だ。
沿道の人は121万人から18万人に
新型コロナウイルス感染拡大は収束せず、その中で開催された今大会は、例年と異なる形で実施されていた。
いつもであれば、スタートやゴール地点、中継所をはじめ数多くの人々が沿道で声援を送り、見守る。例年の観客者数はおおよそ120万人前後と推計されている。
ただ今回は、コロナ禍にあった。感染の予防の観点から「応援したいから、応援に行かない。」を大会のキャッチコピーとし、さまざまなメディアなども活用しつつ、沿道での観戦や応援の自粛を求めた。
一般への呼びかけだけではない。レースに参加しない選手、選手の家族にも沿道ではなくテレビからの応援を要請した。選手も家族などにその旨を伝えていたという。
その結果、今レースの沿道の人の姿は激減していた。大会ののち、観客は昨年(約121万人)と比較して85パーセントほど減少したおよそ18万人だったことが伝えられている。
だがこれは逆の見方をすれば、昨年の15パーセントほどの観客は沿道にいたということになる。どちらに着目するかで評価は変わる。
85パーセント減少したことに目を向ければ、大幅な減少であり、多くの人が配慮し、協力したことを意味する。レースの開催のための自制、抑制であっただろう。
15パーセント、18万人に目を向ければ、「やっぱり多かった」となる。とりわけ、感染の拡大傾向がはっきりしてきた中、批判の声は少なくなかったと見受ける。