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【極寒のロシアへ】齊藤未月が語るルビン・カザン移籍 決断の奥底に「湘南産」のベルマーレ愛
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byGetty Images
posted2021/01/08 11:01
齊藤未月のハードワークは東京五輪世代でも屈指だ。ロシアの地でさらに磨かれるか
「本当にめちゃめちゃ鍛えられました」
「2人とも、僕にとってものすごく大きな存在です。敏さんには、中学3年生の時に指導してもらって、ポジションをボランチに変えてくれました。それまではシャドーとかトップ下をやっていたのですが、このコンバートにより、自分の武器に気づくことができ、プロになれたと思います。
曺さんからは、本当にいろんなことを学びました。プレーはもちろん、メンタルの持ちようや、目標に対する向き合い方、常に真摯に取り組むことなど。印象的な言葉もたくさん受けました。厳しい言葉もありましたが、それは僕に発破をかけてくれるものでもあり、調子が悪い時に立ち返るものでもあって。本当にめちゃめちゃ鍛えられました。すべてを教わったと言っても、過言ではないです。
曺さんは、日本のサッカーをもっと盛り上げるため、もっと面白くするため、もっと強くするために、そうした言動をしていました。だから、僕らもそれにしっかり呼応していた。僕自身も、日本のサッカーがもっと面白く、もっと強くなればいいと、心から思っているので」
杉岡、金子、石原らの同世代と切磋琢磨
湘南では仲間にも恵まれた。同世代には杉岡大暉(現鹿島アントラーズ)や金子大毅(2021シーズンから浦和レッズ)、石原広教がおり、「毎日のようにサッカーの話をして、切磋琢磨して」きた。そして先輩や後輩、スタッフを含め、全員が「自分のわがままな言動や強気な姿勢にも、理解を示してくれた」という。
「僕はいろんな人に怒ったり、強い態度を見せたりしていたのですが、みんなが受け入れてくれて。湘南には自分にとって最高の環境がありました」
それはクラブに対する齊藤の熱い想いを、誰もが理解していたからだろう。時に衝突も恐れない彼の言動は、ベルマーレのことを思っているからこそのものだと。
12月のホーム最終戦の後、サポーターたちに向けて、齊藤は次のように語りかけた。