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スーリエドール獲得・インモービレに聞く「予算が少ないのに、なぜラツィオには主力選手が残るのか」
posted2021/01/06 17:01
text by
バレンティン・パウルッツィValentin Pauluzzi
photograph by
Sébastien Boué/L’Équipe
チロ・インモービレのインタビュー後編の話題は、彼自身のサッカー観やスーリエドール獲得によっておこる周囲の変化や心境の変化、さらには今後の展望へと進んでいく。ラツィオというクラブに入ったこと、シモーネ・インザーギという監督に出会えたこと、その幸運をインモービレが噛みしめていることが彼の言葉の端々から伝わってくる(全2回の2回目/#1から続く)。
(田村修一)
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「インモービレ流のゴール」とは?
――名前(インモービレはイタリア語で《不動》の意)を揶揄されることにはずいぶんと耐えねばならなかったのではないですか?
インモービレ ペスカーラ(2012年)でズデネク・ゼーマンにからかわれたのが最初だった(笑)。彼は僕にこう言った。「君はその名前でどうやって攻撃するんだ?」と。同じことを言うのは彼だけではなかったよ(笑)。
――名前とあなたのプレーはまったく相反しています。
インモービレ 僕にとってサッカーとは素晴らしいプレー、シンプルなプレーだ。常に気にかけているのはタイミングとスペースをいかに支配するかで、練習でもディフェンダーに囲まれて身動きがとれないときでも、いかに味方に要求するか、どうやってタイミングをとるか、スペースを作るかに重きを置いている。要約すれば、どうすれば自分の能力を最大限に発揮できるかだ。僕は自分の能力が許す以上のことをやろうとしたことはない。その結果がシンプルなサッカーで、スピーディに成長することができた。シンプルにものごとを運べれば自信も深まる。その結果、より難しいことでもうまくできるようになる。
――それではインモービレ流のゴールとは、いったいどんなゴールでしょうか?
インモービレ ロングパスを受けてズドンと蹴り込む。何の迷いもなく。それこそが僕のゴールだ!
インザーギ監督は「シンプルなスタイルをベースにした」
――ラツィオはあなた中心のチームではないですが、シモーネ・インザーギ監督はどうすればあなたが生きるかよくわかっています。
インモービレ ある選手たちを中心にチームが構成されるとき、監督はまずグループの連帯感を高める必要がある。それから彼らの能力を最大限に引き出す。ミロスラフ・クローゼがチームを離れ、代わりにラツィオが僕を獲得したとき、クラブは僕が少なくとも3~4シーズンはここでプレーすることを見越していた。それはあるプレースタイルを構築しなければならないということだ。他の選手――例えばルイス・アルベルトが来たときにも同じことが言えた。その点でインザーギは素晴らしく、彼はシンプルなスタイルをベースにした。サッカーには1世紀以上の歴史があって、もう新しいものはほとんど作り出せないのだから……。
――CL出場は2015年のセビージャ以来です。スーリエドールとして臨むあなたには、これまでにない期待が寄せられるのではないですか。