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28歳ながら「ベテランに入ってきたんで」 マリノス仲川輝人が語る、常に惜しまずスプリントするワケ
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byGetty Images
posted2021/01/06 11:01
2020年12月7日、ACL決勝トーナメント1回戦、水原三星戦での仲川
「感じたことを出ている選手にうまく伝えられたらなと」
「久しぶりにスタンドで試合を見ることになったので、感じたことを出ている選手にうまく伝えられたらなとは思いました。自分と同じポジションの選手なら、ポジションやタイミングの取り方などアドバイスするようにしました」
レンタル先のSC相模原から呼び戻された松田詠太郎をはじめ、積極的に自分の考えを伝えるようにした。一方でリハビリを急いで1カ月足らずで復帰を果たしている。
初ゴールは8月26日のホーム、コンサドーレ札幌戦まで待たなければならなかった。
実際、焦りみたいなものはあったのかと尋ねると、彼は首を横に振った。
「早く点を獲りたかったというのはありますし、ホッとはしました。でもそれ以外に大事なことが自分自身にはありますから。アシストして味方に点を獲らせてあげればチームの役に立てるし、守備のハードワークもしていかなきゃいけない。ほかの部分を含めて成長していきたいと思っていましたから」
徹頭徹尾のハードワークの旗手として
ゴールという分かりやすい活躍は、2019年シーズンと比べれば圧倒的に少ない。ケガによって出場数も少ない。しかしながら彼が試合から「消えること」はなかった。徹頭徹尾のハードワークの旗手として、フルスピードで駆け回った。不本意なシーズンではあっても、成長を示すことができた仲川輝人の2020年シーズンだったと言える。
2021年、反撃の年へ。
チームは戦い方を研究されてハイラインの裏、特にサイドバックの裏を狙われ、攻撃も相手GKとディフェンスの間への速いクロスもかなり警戒された。「その部分は克服していかないといけない」とやるべきことは理解している。
川崎フロンターレの独走優勝も、新たな刺激材料になっている。2020年シーズンはホーム、アウェーともに1ー3で敗れた。
フッと吐く軽い息遣いには決意が感じられる。