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28歳ながら「ベテランに入ってきたんで」 マリノス仲川輝人が語る、常に惜しまずスプリントするワケ
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byGetty Images
posted2021/01/06 11:01
2020年12月7日、ACL決勝トーナメント1回戦、水原三星戦での仲川
「自分もベテランに入ってきたんで」
「しっかり相手とボールを見て、最後までついていって守備できた部分は成長している部分だと思います。1対1の勝負に勝っていかなきゃ、それこそ試合での勝利もありませんから。自分もベテランに入ってきたんで、チームとしてやるべきことを、プレーであらわしていくことが大事。声とかそういうタイプじゃないので、プレーで見せていきたいなと思っていますから」
あれは後半から出場したアウェーの柏レイソル戦(9月27日)だった。
1点ビハインドで投入された仲川は2アシストをマークして逆転勝利に絡んでいる。だが目を引いたのは得点につながったプレーではない。3ー1と2点リードでアディショナルタイムの5分も過ぎたそのとき。左サイドから裏にパスが送られ、そこに仲川は抜け出していく。無理すれば届く距離だが、時間と点差を考えても流していい場面なのかもしれない。
いかなる状況でも惜しまずスプリントする
最後まで手を抜かない男は、スライディングでゴールラインを割らせなかった。ただ、右太腿裏を手で抑え、起き上がれない。このプレーで再離脱を余儀なくされることになったものの、いかなる状況でも惜しまずスプリントするのが彼である。
「無理しなくてもいいと思われるかもしれません。でもああいうプレーを自分のなかでは大切にしていますし、相手のゴールキックにはどうしてもしたくなかった。ラストまでチームのスタイル、自分のスタイルをやり通さなくちゃいけない。周りを鼓舞するじゃないけど、絶対に気を緩ませちゃいけないんで。だから(ケガと引き換えになっても)まったく後悔していないです」
毅然とした口調は彼のパーソナリティーを映す。
やり通すと言ったらやり通す。突き通すと言ったら突き通す。
気を引き締めろ、最後までやり抜け。