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【衝撃の箱根駅伝】2区区間新・東国大ヴィンセントのスゴいふくらはぎって? “牛丼”を愛する最強留学生の秘密
text by
近藤篤Atsushi Kondo
photograph byAtsushi Kondo
posted2021/01/03 17:03
東国大・ヴィンセントは2区で昨年の相澤晃の記録を更新し、今大会唯一の区間新記録を打ち立てた
日本は「とても寒いです」 好きな食べ物は「牛丼です」
撮影は30分ほどで終わり、そこからは極めてベーシックな英語を使ったインタビューが始まる。
日本はどうですか?
「とても寒いです」
好きな食べ物はなんですか?
「牛丼です」
エキデンのことは知っていましたか?
「ぜんぜん知りませんでした」
まるで中学1年の英語の教科書みたいだけれど、少しずつ聞きたかったことを教えてくれている感触はある。
「首都ナイロビから西へ向かって車で5時間ほど走ったところにあるソティックという街で生まれ育ちました。大きくもなくて、小さくもなくて、でも特に何もない、まあこの街(坂戸)みたいな感じです(笑)。
やっぱケニアの家族とか友人とか恋しくなっちゃいますね。まあそんなときは、SNSでやりとりしたり、あとはケニアの音楽聞いて気を紛らわせてますけど(『ヴィンセントが音楽聴く時って、ガチで壁が震えるくらいのボリュームでかけますから』と主務の男の子が教えてくれる)。
初めてのエキデン? 緊張はしなかったですね。僕、緊張はしないんです。だってちゃんとそれまでにトレーニングしてますし、納得のいくトレーニングをしていたら自信つきますから。
走るのは小さい頃から得意だったですけど、本気で走り始めたのは2016年頃からです。そこから少しずつ、走ることで食べていきたいな、と思うようになりました。
オリンピックとかフルマラソンとか、今はまだ現実的には考えてないです。僕の身体、そこまでまだ強くないですから。まずは2、3年しっかりと準備して、ハーフ、フルって進んでいけたらいいですね」
「マラソンを走りたいです。記録を破りたい」
イェゴン・ヴィンセントはあくまでも真面目かつ謙虚に受け答えする19歳(当時)の若者だった。
考えてみると、あの取材からまだ1カ月と少ししか経っていないことになる。
2021年1月2日。1年前よりもほんの少しだけ苦しそうにレースを終えた彼は(3区よりも2区の方が数倍タフなコースだ)、記者たちの質問にこう答える。
「マラソンを走りたいです。そして1分でもマラソン(世界)記録を破りたいです」
そしてさらにこう付け加えた。
「夢だけど、自信を持ってますよ」