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【衝撃の箱根駅伝】2区区間新・東国大ヴィンセントのスゴいふくらはぎって? “牛丼”を愛する最強留学生の秘密
text by
近藤篤Atsushi Kondo
photograph byAtsushi Kondo
posted2021/01/03 17:03
東国大・ヴィンセントは2区で昨年の相澤晃の記録を更新し、今大会唯一の区間新記録を打ち立てた
超ローカルな駅にある近代的な寮で
この走りを見ながら、少し前のことを思い出していた。昨年11月28日のことである。
僕はNumberの箱根駅伝特集の取材で、イェゴン・ヴィンセントの撮影&インタビューのために、埼玉県坂戸市にある東京国際大学駅伝部の寮を訪ねた。
東武越生線という超ローカルな路線の西大家という超ローカルな駅で降りて、5分ほど歩く。寮といっても建物は鉄筋コンクリート製の白い2階建て、1階には最新の器具が揃ったトレーニングルームと低酸素ルームまで設置された近代的な建物である。
長距離界をリードするカレンジン族出身ランナー
2階の広い会議室で撮影用のストロボを準備し終えてしばらくすると、山での走り込みを終えたばかりの駅伝チームが戻ってきた。
数分後、黄色いウインドブレーカーに白いキャップ姿のヴィンセントが会議室の入り口から顔を出す。こんにちは、と僕は日本語で挨拶し、コンニチハと彼も日本語で返す。そこから先は簡単な英語での会話になる。
本人曰く、彼の第一言語はカレンジン族の間で話されるカレンジン語、第二言語はスワヒリ語、そして第三言語が英語で、日本語は目下勉強中とのことである。ちなみにカレンジン族というのはケニア国内にいる四十数民族の一つで、キプロティチ、キプチョゲなど、名前の最初にKIPとついている人は大体カレンジン族だそうだ。つまりここ10年ほど、世界の長距離界をリードしているランナーはこのカレンジン族出身の人が驚くほど多い、ということだ。