「監督と吉村GMは僕に魔法をかけてくれる」

――杉谷選手は昨年海外フリーエージェント（FA）権を取得し、行使せず残留を表明しました。FA権を行使しない選手が会見を行って残留するのも珍しいことだと思います。

杉谷　一昨年の2019年も国内フリーエージェント権行使せずに残留することを決めて会見して、2020年もまた会見して何なんだって感じなんですよね（笑）。常に吉村さん（浩・GM）や球団の職員の方々が温かく見守ってくれていることを感じますし、「（チームに）必要なんだよ」っていう話をことあるごとにしてくれて。昨年の国内FA権を取得したときも気持ちも“体も、これからもファイターズでお世話になります”と伝えましたが、今回も早めに落ち着いて、次のシーズンへ向けての準備も行いたかったので。

――今回の海外FA権取得の際は、矢野コーチ（謙次・二軍打撃コーチ）から「行使しちゃえ」とか、鶴岡慎也バッテリーコーチ兼捕手から「チームのために行使してくれよ」といじられ、栗山英樹監督にも「海外合うかもしれないね」と言われていましたが、みなさんの杉谷選手への愛情を感じます。

杉谷　僕はファイターズのユニフォームを着たくて、ファイターズでプレーしたくて、入団テストまで受けてファイターズに入りましたし、栗山監督だったり吉村GM、入団テストのときにいたトレーナーの方やマネージャーの方たちとも、今一軍で一緒にプレーできている。とくに、監督と吉村GMは僕に魔法をかけてくれるというか、「お前はもっとやれる」「もっと打てる」「こんなもんじゃない」と毎日言ってくれるので、僕自身もまだまだできるという気持ちになりますね。

ムードーメーカーだと思ったことがない

――杉谷選手も明るいキャラクターで話題になることが多く、ムードメーカー的な役割も担い、チームに大きな影響を与えていると思います。

杉谷　僕自身はムードメーカーだと思ったことがないんですよ。本当に楽しく野球をやっているだけ。それを続けていたら周りが“本当に楽しそうに野球をやってる”と言ってくれて。なんだかんだ、僕は野球を楽しくやりたいタイプだし、本来、野球は楽しむものだと思っているので。もちろん負けが続くときは悔しいですけどね。

　若い頃は稲葉（篤紀・日本代表監督）さんだったり、金子（誠・一軍野手総合コーチ）さん、田中賢介さん（スペシャルアドバイザー）だったり、厳しさの中にも野球の楽しさを教えてくれましたが、すごくプレーしやすい環境を作ってもらいました。そういった環境をこれからは僕らが作っていかないといけない。これまで以上に、自分が全力でプレーすることや結果を残すことはもちろん、プレーしやすい環境、雰囲気作りも大事になってくるのかなと今は感じていますね。

「野球を楽しくやっているだけ」と飾らない姿勢を貫く杉谷　©︎Nanae Suzuki

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