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【独占インタビュー】杉谷拳士が語る国歌熱唱秘話と夏の大失速…“レベチ”だった中田翔は「スピードが違う」
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph byNanae Suzuki
posted2021/01/01 11:05
テレビ番組の収録以外は「ほとんど家にこもっていた」という杉谷の今オフの楽しみは、大人買いした漫画『はじめの一歩』を読破することだったという
中田翔の“レベチ”な打球スピード
――昨季、チームはスタートダッシュがなかなかうまくいかなかったものの、8月上旬には首位と1.5ゲーム差にまで迫りました。
杉谷 じわりじわり、首位と1.5ゲーム差のところまで詰めて、“よし、これからだ”って時に一気に崩れてしまいましたね。勝てる試合で勝ちきれなかったし、その影響が次の試合に出ることもあった。9、10月と大失速してしまい2年連続でBクラス。この結果は本当に重く受け止めていますし、2021年シーズンはチームとして何か変わっていなければならない。このままではファンの人たちも見に来たいって思わなくなってしまう。だからこそ、今はファイターズの野球って面白いなと思ってもらえるようなプレーをしなければいけないということしか今は頭にないですね。
――そんな中で昨年、打点王(108打点)に輝き、自己最多の31本塁打を放った中田翔選手はさすがチームリーダーといった活躍を見せていました。
杉谷 “レべチ”でしたね。春先のキャンプでバッティング練習をしているときからそういう雰囲気が漂っていて、2018年や2019年あたりと比べても全然違いました。(本塁打)30発、100打点は絶対に越えてくるだろうなあという確信したというか。まあ、自分で「レベチ」って言っちゃうぐらいですからね。本当に打球のスピードが違ったんです。遠くに飛ばす距離とかじゃなくて、スピードがものすごく早かった。やっぱりあの人が打ってくれないと(チームが)盛り上がらないですよね。
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夏場以降の大失速に危機感
――杉谷選手自身は88試合に出場して打撃.221、2本塁打、11打点でした。
杉谷 僕も8月以降大失速してるんですよ。大失速することによって、監督に“あいつ調子悪いからな”と思わせてしまったことがすごく申し訳なかったです。打てていれば継続的に試合に使ってもらえていただろうし、もっと起用の幅も広がって、チームとしてもいろいろと戦いの幅が生まれていたはず。本当に夏場から一気に打てなくなって、自分の感覚的にも“これはまずいぞ”という危機感がありました。
――何が原因だったのでしょうか。
杉谷 チームも調子が落ちていて、だからこそ、“俺が何とかしなきゃ”と気持ちが焦っていました。打つべき球で打てず、守るべきところでも守れていなかった。少しずつ歯車が狂ってきていました。いろいろな人のアドバイスを聞いてようやく後半は良くなったんですけど、その時にはもう遅かった。
夏場以降は僕の課題ですね。実はこれまでのシーズンも夏場までは調子が良いのに、そこから崩れてるんですよ。2019年は“もっと行けるな”と思って調子に乗りすぎてダメになり、昨年年はその教訓を生かしつつ、このまま落ち着いて”と気をはりながらも、バッティングが崩れてきてしまって。そうなると、“あれ? ちょっとなんか違うな”といろいろなことを考え始めてしまい、悪循環で大失速。個人的にもなかなか立て直せなかったシーズンでした。