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「教師になりたかった」阪神・矢野燿大監督の“言葉”へのこだわり 嬉しかった主将・糸原の変化 

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田中大貴

田中大貴Daiki Tanaka

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photograph byKyodo News

posted2020/12/31 17:04

「教師になりたかった」阪神・矢野燿大監督の“言葉”へのこだわり 嬉しかった主将・糸原の変化<Number Web> photograph by Kyodo News

2021年シーズンのスローガンを発表する矢野監督

2021年スローガンも全員で決めた

 矢野監督率いる阪神タイガースの2021年のチームスローガンは『挑・超・頂 ―挑む 超える 頂へ―」。このスローガンを決定する際も矢野監督ならではの方針があった。

「会社の今年のスローガンは、“はい、これです”と会社に提示されるよりも、社員が一緒に意見を出し合って決めたスローガンの方が必ず思い入れはあると思うんです。その目標に向かって達成しようという思いも全然違うと思う。だから今年も全員でスローガンを決めました。

 11月に選手もスタッフも全員集まってもらって、僕がどんなスローガンが相応しいか聞いていく。今では若手からベテランまでさまざまなスローガンの案を持ってきてくれるようになった。チームの課題解決へ向けての想いを全員で共有する時間。今年は裏方さんが持ってきてくれた案が採用された。

 リーグ優勝の巨人も日本一のソフトバンクも超えていかなければならない。そして、何よりも自分に勝って、自分を超えて行かなければ強くなっていけない。阪神タイガースに所属する全員の想いが込められているスローガンになりました」

 この話を聞いていると、まるで矢野監督が教壇に立ち、生徒たちに授業を行うかのような風景が想像できた。矢野教室で学ぶ選手たちが授業の中で得たヒントをもとに甲子園で躍動し、優勝へ向かってベクトルを合わせていく……そんな風にも見て取れる今の阪神タイガース。

 矢野監督の「教師になりたかった」という夢は、現在の監督業に大いに生かされているのだろう。2021年、阪神の各選手たちが発するコメントがまたどう変わっているのか。シーズンを勝ち抜くための最大の武器は、教育者・矢野燿大の「言葉」に違いない。

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