才色健美な挑戦者たちBACK NUMBER

スキー・モーグルで冬季オリンピック5大会連続出場! 上村愛子が困難の中で幸せを見つける方法 

text by

林田順子

林田順子Junko Hayashida

PROFILE

photograph byNaoya Sanuki

posted2020/12/30 11:00

スキー・モーグルで冬季オリンピック5大会連続出場! 上村愛子が困難の中で幸せを見つける方法<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

悔しい結果……でも幸せだった

 もちろんメダルが取れなかったことは、今でもめちゃくちゃ悔しいですよ。

 自分がまだできていない技術や体の作り方、メンタルまで整えて、全部揃えてオリンピックで滑ってみたいってずっと思っていました。なのに、いつもどこか何かが欠けていて、今回はこれが足りなかったんだ。じゃあ次の4年間でそこを変えようっていうのが、困ったことに毎回あったんですよね。4年に1回しかない、1日のその瞬間のために時間を重ねているのに、思うように滑りきれないもどかしさをずっと感じていました。

 だけど、そういう思いがなかったら、オリンピックは自分のホームだと思えるぐらいまでチャレンジできなかったと思います。5大会のどこかでメダルを取っていたら、これが私の答えだと思っていたかもしれません。

 すごく難しい目標を立てたことで、悔しい思いも、苦しい思いもたくさんしました。でも、モーグルをやると決めた時の気持ち、やり続けることを決めたのは自分で、好きだからやろうと思った。結果を受けて、これからどんなふうに進化しようと考えるのも大好きだったんですよね。

 だから悔しい結果ではあったけれど、この競技を選んだこと自体が幸せなことで、そこに至るまでの過程もまたやっぱりすごく幸せだったんです。

上村愛子

上村 愛子Aiko Uemura

1979年12月9日、兵庫県生まれ。2歳の時に長野県に転居し3歳からスキーを始め、中学2年でモーグルに転向。高校生で出場した1998年長野五輪で7位に入賞し注目を集める。その後は日本のエースに成長、W杯種目別年間優勝や世界選手権優勝を果たす。メダルは獲得出来なかったが長野からソチまで冬季五輪5大会連続入賞。3Dエア(コークスクリュー720)を最初に完成させカービングターンを武器とするなど、世界の女子モーグル界では技術の先駆者としても知られた。2014年に現役を引退。現在はスキーフリースタイル普及のため、次世代の選手育成にも力を注いでいる。

ナビゲーターの俳優・田辺誠一さんがアスリートの「美学」を10の質問で紐解き、そこから浮かび上がる“人生のヒント”と皆さんの「あした」をつなぎます。スポーツ総合誌「Number」も企画協力。

第140回:上村愛子(スキー)

1月1日(金) 22:00~23:00

2021年「才色健美」の幕開けは、元日に送る1時間スペシャル。テーマは「笑顔」。元スキー・モーグル日本代表の上村愛子さんは冬季五輪に5大会連続で出場し、弾けるような滑りと笑顔で日本中に元気を提供してくれました。彼女の言葉と美学から「笑顔のチカラ」を紐解きつつ、最近ハマっている写真撮影を楽しむオフにも密着します。そのほか今回のスペシャルでは、番組を彩ってきたレジェンド、そして2021年夏に活躍が期待される現役アスリートたちの笑顔にまつわるエピソードも特集。この1時間でこれからの1年を笑顔に!

第141回:永里優季(サッカー)

1月8日(金) 22:00~22:24

女子サッカーの永里優季選手は黄金期のなでしこジャパンでエースとして活躍。33歳となった今でも「新しい課題を常に設定していくことが大事」とまだまだ進化を求める日々を過ごしています。2020年には男子チームに加入して話題を呼びました。体格や体力に勝る男子との戦いでも「全くかなわないという感覚はなかった」と振り返ります。前代未聞の挑戦で得たもの、そしてその先に見据えるものとは? 番組では趣味のドラムを楽しむ彼女のプライベートにも密着。「ドラムにサッカー選手としての成長を促進してもらった」と語る真相に迫ります。

関連記事

BACK 1 2 3

ページトップ