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渡邊雄太の価値ある2ウェイ契約 ラプターズ首脳陣が評価する「小さなこと」と「3P最低40%」の覚悟
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byGetty Images
posted2020/12/24 11:01
渡邊はキャンプを通じて、下部GリーグとNBAを一定期間行き来できる立場を勝ち取り、3シーズン目もNBAでプレーが可能となった
「今シーズンは楽しみでしかたない」
この2シーズンで、2ウェイ契約にはメリットだけでなく、デメリットがあることも理解している。
メリットはNBAのメンバーとして活動できることだけでなく、Gリーグでの経験をも積めること。特に今シーズンは、コロナ禍における例外ということで、NBAでの活動が日数制限(45日)ではなく全72試合中50試合という試合制限になり、シーズンの多くをNBAで過ごすことができるようになった。
一方で、昨季のようにどれだけGリーグで活躍しても、ほかのチームから呼ばれることはなく、所属しているチームの状況だけに左右されるというデメリットは今季も変わりない。
「でも、今回に関しては、本当にチームが僕を必要と思っていなかったら2ウェイだろうが何だろうが、契約をくれることは絶対になかったと思いますし、少なくとも、僕にすごく価値を見出してくれての2ウェイだと思う。しっかりとアピールできれば、今まで以上にチャンスは増えてくるんじゃないかなと思っているので、本当に今シーズンは楽しみでしかたないです」
ナースHCの言葉から感じる期待
ナースHCは、渡邊はトレーニングキャンプで毎日、調子が悪いことが一度もなく、ロスター枠を勝ち取るのにふさわしい選手だと証明してみせたと語った。
「トレーニングキャンプ中、彼はチームに入るのに値しないという日がなかった。毎日だ。調子が悪いことが一度もなかったんだ」
さらに、「(ロスターの)8番目以降は競争が激しい」「シーズン中に(渡邊が)力を見せる機会は必ずあるだろう」などとも言っている。確かに昨季とは状況が違いそうだ。
キャンプ中から、ナースHCが渡邊を好評価しているというのは、そのコメントの端々からもうかがえた。たとえば、プレシーズン初戦前に新加入選手のなかで誰を見てみたいと思うかと聞かれると、ナースHCはすでにロスター入りが確定している選手を数人挙げた後に、こう続けた。
「そのほかに、雄太も見るつもりだ。彼は興味深い選手だ」
『興味深い』という表現が気になったので、試合後にその意図を聞いてみた。すると、ナースHCの口からは称賛の言葉が次々と出てきた。