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わずか11日間で演技に変化が! 村元哉中&高橋大輔が公開練習で見せた本気度「希望が見えたなと」
text by
野口美惠Yoshie Noguchi
photograph byTakao Fujita
posted2020/12/16 11:04
千葉県船橋市に新設された「三井不動産アイスパーク船橋」のオープン祝賀イベントで公開練習を行う村元・高橋
リフト中は全筋力を使った無酸素運動状態に
「NHK杯では、お互いのタイミングが合わなくてミスしてしまっていたので、タイミングを何度も確認しています。僕と哉中ちゃんのどちらが力を入れるか、ちょっとしたズレが大きな影響になります。今朝の練習でも、実は僕がコケて哉中ちゃんを落としてしまったんです……」
終盤のエレメンツのため、高橋の疲労が溜まっている場面。村元が跳んだあと、高橋としてはキャッチ後すぐに踏ん張りたいのだが、わずかに遅れが出る。「リフトしている間、まだ息を止めてしまうんです」と高橋がいうように、リフト中は全筋力を使った無酸素運動状態になってしまうため、大きく息を吸ってから村元をキャッチしたい。そうなると、ますます高橋のタイミングが遅れる。その流れをスムースにしようと、村元が跳ぶ前の合図の動作を何度も繰り返して練習していた。
何より驚かされるのは、こういった細かい修正をコーチ不在のまま、2人で試行錯誤しているということだ。コーチのマリーナ・ズエワはフロリダにいて時差もあるためリアルタイムでのオンラインレッスンも叶わない。村元は言う。
「どう滑るか」より、「どう見えるか」を意識
「コーチが居た方が良いのは分かりますが、仕方の無い時代。練習している動画を自分達で撮影して、その都度見ないと、どこをどうしていいのか分かりません。マリーナには毎日動画を送って『これでどう?良いんじゃない?』と言うと、電話が掛かってきて『これじゃダメ』と言われる、というのを、毎日1時間くらい繰り返しています」
アイスダンスは、いかに2人が一体化しているように見せるかが大事なため、選手自身が「どう滑るか」より、「どう見えるか」を意識しなければならない。コーチが不在というのは、かなりのストレスだろう。公開練習の日も、何度も練習を撮影しては、リンクサイドで映像を確認し、微修正をする。その作業を繰り返し行っていた。
村元が言うように、練習後にコーチに動画を送っても、翌朝にはダメ出しされる可能性が高い。それでも腐らずに、手探りで進まなければならない。行き詰まったり、ケンカになったりしても良さそうな状況だが、2人の表情は明るかった。それは2人の性格が、うまく補い合っているためのようだ。村元は言う。