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わずか11日間で演技に変化が! 村元哉中&高橋大輔が公開練習で見せた本気度「希望が見えたなと」
text by
野口美惠Yoshie Noguchi
photograph byTakao Fujita
posted2020/12/16 11:04
千葉県船橋市に新設された「三井不動産アイスパーク船橋」のオープン祝賀イベントで公開練習を行う村元・高橋
「メンタル的にはすごく頼っている部分があります」
「ダンス(の技術)に関しては私が引っ張っているかも知れませんが、メンタル的にはすごく頼っている部分があります。大ちゃんには言っていませんが(笑)。私は焦ったり、緊張したり、次に次に行こうと慌ててしまう性格なんです。そういう時に、大ちゃんが落ち着いていてくれます」
すると高橋が笑いながら、こう返す。
「そうそう。哉中ちゃんは、せっかち。僕のほうがのんびり症なんで、『まあまあ』『落ち着いて』と、抑えたりします。お互いが同じ方向に行き過ぎないので、良いバランスを取れているのかなと思います」
村元は、アイスダンスに転向してから確実に階段を登り、着実に実力を磨いてきた選手。後退する時期は味わっていない。一方の高橋は、日本を背負いながらも、膝の手術を乗りこえ、五輪メダルを獲得。引退後にまた復帰し、年齢の壁とも戦っている。ちょっとした好不調や小さな壁を、おおらかに受け止めることが出来るのだろう。
周りとの温度差に「希望が見えたなと」
「アイスダンスの難しさは、技術だけでなく、2人の調子とか気分も合わせなければならないところです。僕が調子良かったら相手が悪かったり、その逆だったり、両方とも悪かったり。そんな時でも、2人の気分のバランスを合わせないといけません」
そう語る34歳の高橋の表情は、今までになく柔らかい。進化を信じる気持ちの源になっているのは、NHK杯での周りからの反応だったという。
「想像以上に『素敵な雰囲気で滑ってくれた』というコメントを頂くことが出来ました。でも僕たち自身としては演技で全然出せていなくて満足出来ていなかったので、『もし満足いく演技ができたら、もっと何かを伝えられるモノが出来るんだ』という確信を持てました。なので、褒められたことと、自分達としてはもうちょっとだった、という温度差の部分に、希望が見えたなと感じました」
村元も、こう感じたという。