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藤原恭大、2年前に掲げたトリプルスリーに「絶望はしてません」大阪桐蔭で一番の負けず嫌いが見据える先
posted2020/12/14 11:00
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
JIJI PRESS
今年のパ・リーグのクライマックスシリーズ進出争いにおいて、千葉ロッテの救世主となったのが、プロ2年目の藤原恭大だった。
10月、2位につけていたロッテは、新型コロナウイルスの感染がチーム内に広がり、突如窮地に追い込まれた。一、二軍で大幅な選手の入れ替えが行われ、その時、昇格した11人の中の1人が藤原だった。
10月7日のオリックス戦に1番・レフトで今季初めて先発出場すると、早速安打を放ち、次の福岡ソフトバンク戦では猛打賞の活躍。14日の東北楽天戦ではプロ初本塁打となる先頭打者弾を放つなど、失速しそうになるチームに光を灯した。離脱していた選手が戻ってくる中、藤原は一軍で先発出場を続けた。
それでも次第にチームは負けが込み、藤原自身も11月に入ってから無安打と苦しんだが、11月7日のオリックス戦、1点ビハインドの4回裏に、ライトスタンドポール際へ一直線に突き刺さる、起死回生の3点本塁打を放った。その一打は、崖っぷちに立たされていたチームを救うとともに、藤原自身の復調のきっかけにもなった。
「崩されていたきっかけは変化球攻めで、変化球が頭に残って、まっすぐにもまったくついていけないという感じで、両方打てなくなっていました。だからもう一回初心に戻って、まっすぐをしっかり振っていくことを意識しました。あの打席でしっかり修正できて、1球目から捉えることができたのは自分の中で成長を感じた部分かなと思います」
「あまりCSっていう感じはなかった」
翌日の3位・埼玉西武との直接対決でも2安打1打点の活躍でチームの勝利に貢献し、ロッテはCS進出を決めた。ソフトバンクとのCSでも、敗れたものの藤原は2戦目に3安打を放った。シーズン終盤の活躍は自信になったのでは? と聞くと、こう答えた。
「どうですかね。思っていたぐらいだったので。別に、今の実力通りかなと思います」
その冷静さに凄みを感じた。
初めて経験するCSにも、「あまりCSっていう感じはなかったです。2戦とも状態はよかったので、打てるっていう自信はありました」と言ってのける。