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藤原恭大、2年前に掲げたトリプルスリーに「絶望はしてません」大阪桐蔭で一番の負けず嫌いが見据える先
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byJIJI PRESS
posted2020/12/14 11:00
プロ3年目となる来季へ抱負を語った藤原。プロの壁を感じたとしながらも、言葉の端々には「自信」が窺えた
オフにフォーム改造「しっくりきていた」
プロ1年目のオフ、藤原は打撃フォームを変えた。
「以前は上から(ボールを)潰す感じだったんですけど、トップを少し下げて、横からバットを出す感じに徐々に修正していきました。確実性も飛距離も上げたかったですし、三振をなくしたいというのもあって。それをオフにやって、すごく感じが良かったので、もしかしたら来年(2年目)行けるんじゃないかなと、ちょっと自信はありました」
2年目は開幕から二軍で試合に出続けた。二軍での打率は.230と数字には納得していないが、内容には手応えを感じていた。
「フォームがすごくしっくりきていて、去年とは全然違う感じだったので、『一軍の球をどれぐらい打てるものかな。早く立ちたいな』と思っていました」
そんな時に、非常事態により一軍昇格の声がかかり、藤原はそのチャンスを見事にものにした。10月に藤原と同時に昇格した選手の中で、シーズンの最後まで一軍に残った野手は藤原だけだった。
ただ、これはまだ藤原のプロ野球人生のほんの序章に過ぎない。
「まだ一軍に定着したわけじゃないので、まずは1年間一軍で、全部試合に出る気持ちでやりたい」と来年の目標を語る。
このオフは、さらに自分に合ったフォームを探している。
「逆方向にもう少し強いボールを打てるように。今は逆方向に放りこむ才能はないので、ショートの頭を越すような強い打球を打てるように、もっと磨きをかけていきたいなと思っています」
今後、俊足も活かして安打を量産していく姿は容易に想像できるが、今年放った3本の本塁打も魅力的だった。
本塁打王は「たぶん無理」でも
藤原に、将来的に首位打者と本塁打王のどちらを獲りたいかと聞くと、「獲りたいのはやっぱり本塁打ですけど、たぶん無理だと思うので。やっぱりパワーヒッターには勝てないので」と苦笑した。
2年前のドラフトの際には、プロでの目標に“トリプルスリー”を掲げていた。
「そこは、この2年やってみて、チャンスはもしかしたらあるのかなーと思ったので、まだ絶望はしてません」と不敵に笑う。
絶望どころか、大きな手応えをつかんでいそうだ。20歳の言葉の端々に、自身への期待感がにじんでいた。