Sports Graphic Number MoreBACK NUMBER
【有馬記念】「甘っちょろいことやってたな」戸崎圭太が振り返る2014年とジェンティルドンナ
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph byKeiji Ishikawa
posted2020/12/26 06:00
戸崎圭太は「性格が正反対」の馬、ジェンティルドンナと挑んだ14年の有馬記念を覚えている
「勝負弱いのも自分なんだと」
あれから5年。現在の戸崎圭太は“2014年の自分”をどう感じるのか。
「甘っちょろいことやってたなって。コンスタントに勝てていたこともあって、調子に乗っていたし、何も考えていなかった気がします。それから外国人騎手がたくさん活躍するようになって、このままじゃダメなんだって、騎手人生で初めて気づかされたこともたくさんありました」
近年、戸崎はトレーニングをイチから見直し、食事も変えた。体脂肪率は'14年当時の半分以下になった。そして、最も変わったのが心の持ち様だ。
「以前は、勝負弱い自分を変えたい、強くなりたいとずっと思っていました。でも今は、勝負弱いのも自分なんだと認められるようになった。無理に自信を持たなくても、勝負弱くても、それを補えるものは必ずある。騎手の周りには、馬がいて、いろんな関係者がいて、それぞれを補い合える。それが競馬だと思うんです」
取材翌日、“自称・勝負弱い”騎手は、中山競馬場で2勝を挙げた。9月27日時点で、リーディング3位につけている。
戸崎圭太Keita Tosaki
1980年7月8日、栃木県生まれ。'98年に地方競馬の騎手免許を取得。同年4月に大井競馬場でデビューし、初勝利。'05年から中央競馬にも参戦し、'13年にJRA移籍。'14年の有馬記念を制覇し、この年から3年連続でJRA最多勝利騎手に輝く。