沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
アーモンドアイのベストレースはこれだ! 「特別な牝馬だと思う」ルメールも驚いた強烈な一戦とは
posted2020/12/18 11:02
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
AFLO
3頭の三冠馬が激突した第40回ジャパンカップを制し、自身が持つ芝GI最多勝記録を「9」として有終の美を飾った最強馬アーモンドアイ(牝5歳、父ロードカナロア、美浦・国枝栄厩舎)。その引退式が、今週土曜日、12月19日に中山競馬場で行われる。
勝った9つのGIすべてが強烈だった。桜花賞以後GIしか出なかったというのも考えてみればすごいことだが、その前のシンザン記念も、初勝利を挙げた2歳未勝利戦も圧巻だった。さらに、スタート直後に大きな不利を受けながら、直線で猛然と追い込んで3着となった2019年の安田記念など、負けたレースさえも印象深かった。
そんなアーモンドアイのベストレースを選ぶとしたら、どれか。複数挙げたらダメなのかと本稿の担当編集者に訊いたら、「ベストというのはひとつだけです」と、至極もっともながら、アーモンドアイに惚れ込んでいた筆者にとっては非常に厳しい答えが返ってきた。
他馬との圧倒的な力の差を見せつけたという意味では18年のジャパンカップで、大きな壁を乗り越えるサラブレッドとしてのタフさを示したのは20年の天皇賞・秋……なんて言っているとキリがないので、決めた。
筆者が選ぶアーモンドアイのベストレースは、18年の桜花賞、である。
桜花賞はアーモンドアイ唯一の2番人気
この桜花賞は、アーモンドアイの全15戦で唯一、1番人気ではなく2番人気となったレースだった。単勝3.9倍。
単勝1.8倍という、アーモンドアイを上回る支持を得ていたのはラッキーライラックであった。前年の阪神ジュベナイルフィリーズを制し、年明け初戦のチューリップ賞を完勝していたラッキーライラックは、ここで1957年のミスオンワード以来61年ぶり、史上2頭目の「2歳女王による無敗での桜花賞制覇」を狙っていた。しかし、結果は1馬身3/4差の2着。アーモンドアイに完全女王への道を阻まれたわけだが、その後、エリザベス女王杯を連覇し、大阪杯を制するなど、こちらも牝牡の枠を超えた名馬であることを「再証明」した。
この2頭が1、2着となったのだから、今振り返ると、18年の桜花賞はとんでもないハイレベルだったことがよくわかる。