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“NBA一筋”の渡邊雄太に手を差し伸べたラプターズ たった1つの枠を争うライバルとなる2人とは?
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byGetty Images
posted2020/12/08 06:00
昨季までグリズリーズと2ウェイ契約を結んでいた渡邊雄太。キャンプに参加することが決まったラプターズで生き残りを懸けたアピールを続ける
渡邊に残された「1」の枠
ここからは、少し細かい話になるが、渡邊の立場を理解するために、ラプターズのキャンプに参加する20人の契約状況を説明しよう。
20人のうち、今季の契約全額がギャランティされた選手が13人、部分的にギャランティされた選手が3人。渡邊を含めた残りの4人が契約ギャランティがない立場だ。
ギャランティがない中で、今年のドラフト2巡目指名選手を含めた2人は、すでにラプターズと2ウェイ契約を交わしている。2ウェイ契約自体は入れ替えることもありえるのだが、とりあえず、彼らは2ウェイ契約のままだと仮定すると、本契約15選手に対して16人が全額または部分的なギャランティを持っていることになる。
それでは、渡邊のロスター入りのチャンスはないと思うかもしれないが、部分的にギャランティされたうち、1人はその額が5万ドルと低い額であることから、立場的には渡邊らとほぼ同じと考えていい。さらには、全額ギャランティされている選手の1人、テレンス・デイビスは現在、婦女暴行罪等で起訴されており、リーグの調査や裁判の判決結果によっては、後日ロスターから外される可能性が十分にある。
そうなった場合、本契約の枠が1つだけあくことになる。その1枠を争うのは、5万ドルのギャランティを持つヘンリー・エレンソン、ノンギャランティのアリゼ・ジョンソンと渡邊の3人というわけだ。
ナースHCが明かしたそれぞれの持ち味
ナースHCは、トレーニングキャンプ初日の12月6日に行われたオンライン会見でロスター枠を争っている選手としてこの3人の名前をあげ、それぞれの持ち味を語っている。そのコメントから推察するに、3人のうち1人をロスターに入れることを検討しているようだ。
ちなみに、ナースHCの渡邊評は「オールラウンドなタイプの、ポイントフォワードタイプの選手。ボールハンドリングができて、視野も広い。シュートもうまい。見かけより少しタフだ」だった。エレンソンのことは「ピック&ポップができるスキルを備えたビッグマン」、ジョンソンについては「運動能力があるエネルギッシュなスコアラー」と評している。それぞれ違うタイプの選手だけに、能力だけでなく、どのタイプの選手をベンチに置いておきたいかによって決まる可能性もある。