草茂みベースボールの道白しBACK NUMBER

【契約更改ウラ話】なぜ中日にプロ野球選手会は抗議文を送ったのか ドラゴンズの闇歴史にピリオド? 

text by

小西斗真

小西斗真Toma Konishi

PROFILE

photograph byKyodo News

posted2020/12/05 11:03

【契約更改ウラ話】なぜ中日にプロ野球選手会は抗議文を送ったのか ドラゴンズの闇歴史にピリオド?<Number Web> photograph by Kyodo News

2度目の契約更改交渉を終え、記者会見する中日の福敬登。今季は最優秀中継ぎの活躍を見せていた

落合博満GM時代の物言えぬ闇歴史にピリオド?

 もっとも、こうした球団への不信感、起用法を含めた指導者への疑問は、急に生まれたわけでもない。

 7年連続でBクラスだったチームである。当然ながら年俸面でも抑制され、2020年度の平均年俸3179万円(外国人選手を除く選手会加盟の支配下選手のみ対象)は全体10位だ。19年が11位、その前が9位、10位、11位。弱いから上がらないのか、上がらないから強くなれないのか……。不平不満はずっと前から渦巻いていた。

 それが表面化しなかったのは、大幅なコストカットを推進した落合博満GMや、谷繁元信、森繁和といった強面監督の前では思ったことを口にできなかったからだ。物言えぬ闇歴史にピリオドが打たれ、不平不満が公になる。ある意味ではまっとうな組織に近づいている証左ともいえる。

 もちろん下交渉の席で「言った」「言わない」になる時点で、球団代表の交渉姿勢は「不十分」と批判されても仕方ない。「ない袖は振れぬ」と居直っては交渉にならない。全身全霊をかけてコロナ禍でも収入を確保する方法を模索し、かつ誠意を尽くして財政状況を理解してもらうのは重大な使命だ。

 抗議文以降は保留者は出ておらず、木下、福も更改した。反省と歩み寄りの姿勢を忘れず、痛みをも分かち合う。共存共栄のため、何よりも失ってはならないのが、ファンの支持だろう。生観戦をあきらめざるを得なかった野球ファンを、しらけさせてはいけない。

関連記事

BACK 1 2 3
木下拓哉
福谷浩司
福敬登
石川昂弥
高橋宏斗

プロ野球の前後の記事

ページトップ