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アーモンドアイ・国枝師が語る ジャパンカップのレース中に「あぁ、やっぱり勝てたなぁ」と思ったワケ 

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平松さとし

平松さとしSatoshi Hiramatsu

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photograph bySatoshi Hiramatsu

posted2020/12/06 11:03

アーモンドアイ・国枝師が語る ジャパンカップのレース中に「あぁ、やっぱり勝てたなぁ」と思ったワケ<Number Web> photograph by Satoshi Hiramatsu

国枝調教師は、「3強」が揃ったジャパンカップでも名馬アーモンドアイの勝利を信じていた

万が一のための水かけルーティーンも

 脱鞍した直後には馬体に水をかけた。3歳時にはレース直後に熱中症のような症状を見せてフラつく事があったため、この水かけはルーティーンだった。

「馬体が成長して体質的にもしっかりした4歳以降はフラフラするような事はなくなりました。ただ、万が一のため、万全を期して水をかけて馬体を冷やすようにはしています。ジャパンCのあともそうしたけど、何も問題なかったので馬服を着せてウィナーズピクチャーの撮影も出来ました」

「思い出に残っているレースは沢山あるけど、やはり」

 美浦の厩舎に戻ったアーモンドアイは3日の日中にノーザンファーム天栄へ発った。19日に行われる引退式にはそこから直接向かうため、もう厩舎には戻って来ない。これが厩舎での本当のお別れとなる直前、9つの★印が付いた調教用ゼッケンが届いた。トレセンで使用される調教用ゼッケンは、勝利したGIの数だけ★印が付けられるのだ。アーモンドアイがそれを着けて調教される事は永遠にないが、国枝師は言う。

「アーモンドアイが厩舎を出る前に届いて良かったです」

 そして改めてGI9勝馬と過ごした3年と少しの年月を振り返っていただくと、次のように語った。

「思い出に残っているレースは沢山あるけど、やはり1回目のジャパンC制覇(18年)は衝撃的でした。時計が2分20秒6のレコード。普通、レコードタイムというのはコンマ何秒を更新する程度だけど、あの時は一気に1秒5も更新した。時計が狂っているんじゃないか? と思うくらい驚いたし、思い出に残りました。また、彼女自身に関して言えば、ポテンシャルが高かったのは勿論だけど、秋華賞後にJCを勝った時や、今回のJC勝ちを見ても、状態面でマックスになるのはひと叩きされた後だったのかもしれません。まぁいずれにしろ、凄い馬でした。良い事もたくさんあったけど、少しの事でも気になったし、勉強になったし、良い経験になりました。アーモンドアイのお陰で本当に充実していました」

 今回は電話取材だったので、国枝師の顔を見る事は出来なかったが、きっと、産駒の入厩が待ち切れないという表情だったのではないだろうか。そう思わせる最後の言葉だった。

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