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チャンピオンズカップをチュウワウィザードが制す! 「砂の絶対王者」クリソベリル、“国内初敗戦”の原因は?
posted2020/12/07 11:50
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Photostud
国内では負けたことのなかった「砂の絶対王者」も、「8枠全敗」のジンクスを打ち破ることはできなかった。
第21回チャンピオンズカップ(12月6日、中京ダート1800m、3歳以上GI)で、戸崎圭太が騎乗した4番人気のチュウワウィザード(牡5歳、父キングカメハメハ、栗東・大久保龍志厩舎)が優勝。圧倒的1番人気に支持された川田将雅のクリソベリルは4着に終わり、国内で初めての敗戦を喫した。この秋、10月4日のスプリンターズステークスからつづいていたGIでの1番人気の連続勝利は「7」で途切れた。
8枠15番でも1.4倍の圧倒的な支持を得たが
このレースがジャパンカップダートからチャンピオンズカップという名称になり、中京開催となったのは2014年。以降、昨年まで勝ち馬はすべてひと桁の馬番で、8枠を引いた馬は15年ロワジャルダン(8枠16番)の4着が最高だった。ゲートから300mほどのところの、ちょうど行き脚のついたところに1コーナーがあるため、どうしても外枠は不利になるのだ。
クリソベリルが引いたのは8枠15番。それでも、この馬なら克服してくれるだろうというファンの思いが、単勝1.4倍という圧倒的な支持に表れていた。
川田を背にしたクリソベリルはポンと速いスタートを切った。そのまま先行して他馬より前に出るか、あるいはいったん下げてから内に切れ込むと思われていたが、ゲート出てから200mほどの距離を内のヨシオと並走する形になってしまった。そのため、イン側に進路を取ることができないまま1コーナーに差しかかることになった。
クリソベリルは1コーナーを回りながら、距離損のない内に切れ込んだ。が、目の前には他馬がおらず、2馬身ほど先を行くインティの姿を見通せる格好になった。前に壁を置くことができなかったせいか、川田が手綱を引いてもその指示に反して前に行こうとした。つまり、折り合いを欠いて、引っ掛かってしまったのだ。
向正面に入ると落ちついたので、掛かって走ったのは200mほどしかなかったが、それでもギリギリのせめぎ合いになるGIではちょっとのロスが痛い。
持ったままの手応えで4コーナーを回り直線では突き抜けそうに見えたが、いつものように鋭い末脚を使うことができず、4着に終わった。
「今の具合でよくここまで来てくれました」と川田が言い、管理する音無秀孝調教師も「いつもと違う走りだった」とコメントしたように、敗因は外枠だけではなく、本来の状態ではなかったことも響いたようだ。