Number ExBACK NUMBER
祖父は伝説の棋士、22歳藤沢里菜女流四冠が達成した女性初の快挙とは【共用スリッパで帰るドジっ子だけど】
text by
内藤由起子Yukiko Naito
photograph byKYODO
posted2020/12/02 11:01
男女混合戦である第15回広島アルミ杯・若鯉戦で優勝した藤沢里菜女流四冠
「財布やパソコンなど里菜はよく無くしています」
また、研究会から帰るとき、片方は自分の、もう片方は佐田篤史七段のスニーカーを履いて出て、「それ、僕の靴」と佐田に指摘された。ちなみに藤沢は足のサイズが26cm。男性の佐田と変わらぬ大きさだったのがアダとなった。
親友の星合志保二段は、「財布やパソコンなど里菜はよく無くしています。『誕生日だからごちそうするよ』と誘われてレストランに行ったら、財布をなくしたことに気づかず持っていなくて。結局、私がおごるハメになりました」と笑う。
藤沢のすごいところは、その無くした財布やパソコンのほとんどが見つかっている点だ。
「忘れ物がひどくてうんざりします。でも、将棋の羽生善治先生もスーツケースを持たずに出かけるなど忘れ物がひどいとききました。棋士ってそういうところあるんだなあと安心しました」と、藤沢はここでも前向きに捉えている。
若鯉戦の3日後、女流本因坊戦五番勝負でも勝ってタイトル奪取し、女流四冠になった。
乗りに乗っている藤沢の今後の目標は、「国際棋戦での活躍」と「リーグ戦入り」だ。
井山裕太や芝野虎丸らとタイトル戦を打つ藤沢里菜を早く見たい。それはもう、夢ではない。