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祖父は伝説の棋士、22歳藤沢里菜女流四冠が達成した女性初の快挙とは【共用スリッパで帰るドジっ子だけど】
text by
内藤由起子Yukiko Naito
photograph byKYODO
posted2020/12/02 11:01
男女混合戦である第15回広島アルミ杯・若鯉戦で優勝した藤沢里菜女流四冠
井山裕太四冠も「トップ棋士と遜色ない」と評価
今年11月末までの成績は35勝12敗。元棋聖の小林覚九段ら一流棋士に勝つなど、対男性棋士でも11勝7敗と勝ち越している。
在籍することがトップ棋士の証で「黄金の椅子」と呼ばれる名人戦リーグに、昨年、あと1勝のところまでこぎつけた。
碁界の第一人者井山裕太四冠も藤沢のことを「トップ棋士と遜色ない」と評価している。
今回の優勝は、結果がようやく伴ったというところだろう。
藤沢は6歳のとき碁を覚え、のちに通うことになる洪道場の師範、洪清泉四段から手ほどきを受ける。そのきから碁ひと筋。「囲碁以外になりたい職業もなかったし、進学も考えていなかった」と藤沢。
「早くプロになりたい。なって家を支えたい」
洪四段は「里菜は強くならなければならないと思い、人の何倍も努力してきました。びっくりしたのは、里菜が小学3年のときです。『早くプロになりたい。なって家を支えたい』と。こんな幼い年齢でそれを言えるのかと」。
道場に来たら夜9時まで碁漬けの時間を過ごし、そのあとは家で詰碁をやるような生活を続けた。結果、11歳6カ月の史上最年少記録(当時)でプロ入りを果たした。
「弱音も吐かず、よく頑張りました。院生の手合いが終わると、まっすぐ道場に一番に帰ってきて、師範の先生に碁を見てもらっていました」と洪四段。
碁に対しては真面目で一生懸命。性格は明るく天真爛漫という言葉がぴったりのよく笑うお嬢さんだ。道場でも夏の暑い日などは「先生、アイスクリーム食べたい」など感情を表現して楽しそうにしていたという。
藤沢には「おじいちゃんの光」があると、洪四段はいう。