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祖父は伝説の棋士、22歳藤沢里菜女流四冠が達成した女性初の快挙とは【共用スリッパで帰るドジっ子だけど】
posted2020/12/02 11:01
text by
内藤由起子Yukiko Naito
photograph by
KYODO
男女一緒の公式戦で、初めて女性棋士が優勝した。
第15回広島アルミ杯若鯉戦が11月22日に広島市で打たれ、藤沢里菜女流名人・女流立葵杯・カマチ杯(22)が優勝。女性として史上初の快挙となった。広島アルミ杯若鯉戦は、30歳以下、七段以下の棋士が参加できる棋戦。名人戦リーグに在籍経験のある平田智也七段、孫喆七段らトップ棋士を撃破し、藤沢は栄冠をつかんだ。
「優勝は信じられません。早碁(持ち時間の少ない対局)だったので、集中している間に終わった感じで。(数日経った)今でも実感がありません」と藤沢。
女性が公式戦で優勝したのは初めてなので、一般的には「快挙」という表現になるのだろうが、業界では「ようやく、やっと」扉が開いたという思いで受け止められている。
男性と女性が同じ土俵で対戦する数少ない競技
囲碁は男性と女性が同じ土俵で対戦する数少ない競技だ。
将棋は「棋士」と「女流棋士」は全く違う世界だが、囲碁でいう「女流棋士」は女性である棋士という意味でしかなく、皆同じ、「(囲碁)棋士」なのだ。
これまで一般の公式戦での女性の優勝は、お隣の韓国でゼイ・ノイ九段が2000年に「国手」となったことがあるだけで、日本ではなかった。
とはいえ、非公式戦では第1回広島アルミ杯若鯉戦で謝依旻六段が優勝しているし、藤沢自身も4年前に17歳以下の若手棋戦でのちの名人である芝野虎丸二段(当時)に勝って優勝している。
これまで女性棋士の一般(男女一緒)公式棋戦での活躍は準優勝が最高で、2019年の竜星戦で上野愛咲美女流棋聖(当時)、1997年の新人王戦で青木喜久代七段(当時)らが到達している。
藤沢の実力は折り紙付きだ。