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エディ・ジョーンズは好調フランスをどう料理する? 若きレ・ブルーの弱点は“退場癖”と協会との軋轢か
text by
竹鼻智Satoshi Takehana
photograph byAFP/AFLO
posted2020/12/01 17:00
24歳SHデュポン(左)ら軸に華麗なラグビーを見せるフランス代表。盤石なイングランドを倒し、“秋の王者”に輝けるか
2023を見据える若きレ・ブルー
最後にシックスネーションズを制した2010年以降、優勝から遠ざかっているフランスは長い低迷期間にあるとされていた。17年11月に行われた日本戦(引き分け)の後にギー・ノベスHCが解任。後任のジャック・ブリュネルHCも昨年のW杯での準々決勝敗退を受け、その職を退いている。
4年後の大舞台での栄光へ向けて復活を誓うフランスは、ファビアン・ガルティエHCのもと、大胆に若手を抜擢。平均年齢約24歳の布陣で2020年シックスネーションズ初戦のイングランド戦を制すなど、今季の戦績は7勝1敗と好調だ。
なかでも、24歳のSHアントワーヌ・デュポン、21歳のSOロマン・ヌタマックの若手ハーフバックを軸にフランスらしい“輝き”を取り戻した。自らのランプレーも光るデュポンとヌタマックを中心にチーム全員がボールを繋ぎ続けるスタイルは、正にフランスラグビーの真骨頂だ。10月24日に行われたウォームアップゲームでウェールズを38-21、翌週に再開されたシックスネーションズ最終節ではアイルランドを35-27で下している。
18、19年のU20W杯で優勝を経験するヌタマックらの黄金世代からは、PRジーン=バプティステ・グロス、PRデンバ・バンバ、FLキャメロン・ウォッキ、CTBアーサー・ビンセント、ピエール=ルイス・バラッシが既にフル代表デビューを果たすなど、着々と強化が進められている印象だ。
リスクを冒しながらも派手に戦う
オータムネーションズカップでもその輝きを発揮している。初戦のフィジー戦は不戦勝となったが、第2節でスコットランドを22-15、第3節のイタリア戦では代表戦初出場の若手を5人スタメンに並べながらも、36-5で勝利を飾っている。
ボールを繋ぎ続ける攻撃型のスタイルを持つチームは、必然的にリスキーなプレーを許容する。インターセプトを含むターンオーバーや、素早い球出しを意識したラックでのミスがペナルティに繋がる場面もあるが、リスクを冒しながらも派手な戦いを好むのが、本来のフランスラグビーのアイデンティティだ。若手中心で結果を残している以上、弱点は今後時間をかけて修正していく、というのがガルティエHCの戦略だろう。