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19歳マラドーナ、“衝撃の太もも” 同い年の水沼貴史が語るワールドユース秘話と伝説のアシストとは
text by
水沼貴史Takashi Mizunuma
photograph byGetty Images
posted2020/11/27 20:00
1979年のマラドーナ18歳、ワールドユース優勝時の写真。日本の地から天才の伝説は始まった
勝矢がハンドオフ1つで全く動けず
マラドーナのすごいところは、あれだけ高い技術を持っていながら当時から味方を使うのがすごくうまかった。状況判断が抜群にいい。あれだけドリブルで抜ける力があるのに「自分だけじゃない」というか。カニーヒアへのアシストはそんな魅力が詰まっていました。
時代も違うし、サッカーも当時から大きく進化していますが、おそらく現代サッカーでも十分に通用する技術はあったと思いますよ。それでいて、あの太ももですからね。フィジカルの話で言えば、勝矢(寿延)が日本代表としてマラドーナと試合した時、片手一本のハンドオフで全く動けなくなったと聞いたことがあります。
勝矢は私たちの中では強靭なフィジカルを持っているとされていた選手です。そんな勝矢でさえ、動けないってどんなハンドオフだよ、と(笑)。全ての能力が高いレベルに到達していたように思います。
マラドーナの“ライバル”が出てこない
マラドーナを唯一無二の存在、スーパースターとさせたのは、彼の横に並ぶ人がいなかったことも大きいと思います。
現代では、タイプこそ違いますが、メッシとクリスティアーノ・ロナウドが得点という部分で競い合っている。バロンドールもほとんど2人で分け合っていますよね。でも、マラドーナのライバルは誰? と言われたら出てこないんです。神様ジーコだって世代は少し上ですからね。
またそのメッシという存在も一層、マラドーナの偉大さを際立たせています。