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【もめた日本シリーズ】なぜ「巨人はロッテより弱い」発言が?/仰木彬「10分間抗議してくるから…」
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byKenmizaki Makoto
posted2020/11/21 11:03
1989年の日本シリーズ、第7戦で巨人に打ち込まれ、降板する近鉄・加藤哲郎
名将・仰木彬が見せた激昂のなかの冷静さ
<名言3>
10分間抗議してくるから、その10分間でブルペンで(投手を)作れ。
(仰木彬/790号 2011年10月27日発売)
◇解説◇
1996年の日本シリーズは巨人対オリックスの一戦となった。当時の両チームには松井秀喜とイチローという球界きってのスーパースターが在籍。そして巨人・長嶋茂雄と“マジック”と称された仰木、2人の指揮官の采配に注目が集まった。
その仰木が勝利への執念を見せたのは、オリックスが3勝1敗と王手をかけた第5戦、4回表のこと。
巨人・井上真二が放ったセンター前の際どいフライを、守備の名手・本西厚博がナイスキャッチしたかに見えた。しかしジャッジはバウンドしたとしてヒット判定。これに仰木は猛抗議し、選手をベンチ裏に引き揚げさせる場面もあった。
しかし仰木は激昂しているようで、冷静だった。
ベンチを飛び出す際に投手コーチに冒頭の言葉を耳打ちし、継投策に入る準備を進めていた。その間、ブルペンで肩を仕上げた伊藤隆偉にスイッチすると、見事ピンチを脱出。巨人を下し、日本一の座に就いたのだった。