ぼくらのプロレス(再)入門BACK NUMBER
天龍源一郎、オカダ・カズチカとの“激怒の引退試合”から5年、再会して「高田延彦と双璧だよ」
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph byEssei Hara
posted2020/11/19 17:02
5年前、天龍源一郎とオカダ・カズチカは“昭和プロレス”を繰り広げた
「今のプロレスはスゴいんです」って口にしないと
今回のトークバトルの肝は、やはりなんと言っても両者の因縁の発端となった、オカダの「僕と同じ時代じゃなくて良かったですね」発言だろう。
天龍は「あの発言を聞いた時、俺は本当に怒ってたよ。すぐ、うち(天龍プロジェクト)の代表に『新日本に連絡して、オカダをここに呼んでこい、コノヤロー!』って言ったぐらいだから」と、あの時の怒りが本物だったことを吐露。
これに対してオカダは「それだけ今のプロレスに自信があったというか。もちろん、天龍さんも『俺が一番だ!』って思ってるでしょうけど、僕たちが『いや、過去には勝てません』って言うのもおかしいことだと思ったんですよ。だから、たとえ怒られても『僕たちの今のプロレスはスゴいんです』ってしっかりと口にしないとダメだなと思っていたので。でも、怒ってくれたおかげで5年前のあの試合が実現したわけですから、良かった……ですよね?(笑)」と、茶目っ気を出しながらも、しっかりと自分の考えを主張した。
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天龍とオカダ、それぞれのプライドをぶつけ合った結果が、あの天龍引退試合につながったということである。
猪木とオカダの対談で感じた敬意と自信
そして、5年前の一騎打ちについてオカダは、「天龍さんに勝つだけじゃなく、天龍さんを今まで観てきたファンの人たちにも、今のプロレスを見せたかった。『今のプロレスはすごいんだ』というのを見せなきゃいけないと思っていた。そういう闘いもあったので、より激しく攻めていった部分もあります。いまのプロレスをナメてもらいたくない気持ちがあったので、ドロップキックも顔面にいかせてもらいました」と語っている。
筆者は今年、『Number』のプロレス特集号で、アントニオ猪木とオカダ・カズチカの対談を担当させてもらった。その時にも感じたが、オカダは大先輩のレジェンドを前にしても物怖じせず堂々と自分の考えを述べることができ、敬意と自信のバランスが絶妙。また「今のプロレスの凄さを、世代を超えてわかってもらいたい」という強い思いが感じられる。
「今の新日本の試合を、猪木さんに会場で生で観てもらいたい」という思いがあり、また「天龍と昭和のプロレスファン両方に、今のプロレスの凄さを知ってもらいたい」という思いがあったからこそ、あの11.15の引退試合があったのだろう。