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36歳琴奨菊、最年長関取の引退 9年前、新大関が“憧れの先輩大関”魁皇に語った夢
text by
佐藤祥子Shoko Sato
photograph byJMPA
posted2020/11/18 17:15
11月場所8日目に引退を発表した琴奨菊(写真は2016年1月場所での初優勝時)
「本当ですか、やったー!」
琴奨菊 あのぉ、名古屋場所の(七月、魁皇が引退直後に顔を出した)支度部屋で魁皇関に「博多帯、ください」と言ったんですが……。
魁皇 あ、今日、持って来たよ。糊がついてないけど(魁皇の名前が刺繍された年季の入った帯を手渡す)。
琴奨菊 本当ですか、やったー! ありがとうございます、ありがとうございます! これをまた、いつか出てくる九州出身の大関に大切に引き継いでいきます!
あれから9年――。あの日、初々しく光り輝いていた新大関は、いつしかベテラン大関と呼ばれ、最年長関取として土俵を去った。
そして2020年の今年、朝乃山、正代とふたりの新大関が誕生した。なかでも正代は九州・熊本出身でもある。誰の目にも見えないバトンは、着実に受け継がれてゆくようだ。
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