情熱のセカンドキャリアBACK NUMBER
齊藤祐也が子供教室で学んだ“情熱”、「ノーサイド・ゲーム」の監督からもらった宝物とは
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2020/11/17 17:02
子供向けのスポーツ教室「コーディネーション・アカデミー」では様々な指導者から刺激を受けているという
求められたのは、ラグビーシーンの迫力
ラグビー仲間から「福澤克雄監督が会いたがっている」との連絡を受け、直に会って断ろうと考えた。
「最初に断ったんですけど、たわいもない話をした後に『いけるよな?』と。結局『はい』って言ってしまっていたんです。俳優にラグビーをやってもらうんじゃなく、ラグビー選手に俳優をやってもらう。その一言が胸に響きました」
やると決めたらのめりこんでやるしかない。トレーニングジムに入って現役時代のような肉体をつくることにした。撮影をこなしながら、スポーツ教室に支障が出ないようにした。
福澤監督から求められたのは、ラグビーシーンの迫力。
日本代表の先輩、田沼広之が齊藤にこう語りかけたという。
「コンタクトシーンは100%でやろう。祐也、構わないから全力で来い」
田沼と齊藤の100%が、周囲の熱を呼び込んでいった。
「最後は泣いてしまいました」
齊藤はこう振り返る。
「経験者を集められているのは、そういうことなんだと田沼さんも僕も思っていましたから。僕らのコンタクトシーンくらいから、みんな遠慮なくやっていった感じがありました。
撮影が終わったのは、最終回が放送される2日前。最後は泣いてしまいました。みんな一生懸命にやったので終わる寂しさと、ホッとしたのと、感動したのと……。僕のスケジュールの問題もあってセリフの多い役ではなかったですけど、俳優をやらせてもらって本当に良かったなと思いました。自分の可能性というものを伸ばすことができたんじゃないか、と」