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批判覚悟も…本田圭佑、ボタフォゴ再建案“22連続ツイート”は空振り? 思い出すミランでの過去 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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posted2020/11/15 17:02

批判覚悟も…本田圭佑、ボタフォゴ再建案“22連続ツイート”は空振り? 思い出すミランでの過去<Number Web> photograph by Getty Images

日本では“歯に衣着せぬ”タイプとして見られる本田圭佑だが、ブラジルの人々にはどのように映っているのか

ブラジルで批判を浴びない理由とは

 この発言は、地元メディアとファンの間で物議を醸した。結果としてクラブ内での立場を一層悪くしたが、本人が期待したような効果は得られなかった。

 5年前と今回の発言は、ともに外への批判も含んでいた。しかし、5年前は大きな批判を浴びたが、今回はそうではない。

 それには、いくつかの理由がありそうだ。

 まず、ブラジルとイタリアにおける日本という国や日本人、日本のフットボールへの評価の違いがある。

 ブラジルは世界有数の親日国であり、日本と日本人へのイメージが極めて良い。また、Jリーグへ多くの選手、監督を供給しており、日本のフットボールに対して一定の理解がある。

プレー内容への評価も異なっている

 本田のプレー内容への評価も異なる。セリエAとブラジルリーグのレベルの差はあるが、5年前、本田はプレー内容を厳しく批判されていた。これに対してボタフォゴでは主将を任され、絶対的なレギュラーだ。コパ・ド・ブラジルで敗退したことで初めて批判を受けたが、それでも中心選手の立場は揺るがない。

 また、5年前は「クラブ首脳と監督らへの批判という欧州契約社会におけるタブーを犯した」と受け止められたが、ブラジルではこのような観念は希薄だ。情緒的な国民性ということもあって「愛があるがゆえの苦言」は特に問題とされないことが多い。

 とはいえ、5年前も今も、本田の直言は当事者にはスルーされている。

別の“空振り発言”もあった

 本田には、別の“空振り発言”がある。

 以前から、「育成年代は別だが、プロの監督になるのにライセンスは無意味」として、「Jリーグにおける指導者ライセンス制度の撤廃」を主張する。「日本で監督をするつもりはないから、自分のためじゃない。日本サッカー全体がもっと人気と注目を集め、発展するためだ」と説明する。そして、状況が変わらないことに対して、「何で誰も動かんの? 都合が色々と悪いんやろうね」とした。

 この発言には賛否両論があるが、現実には本田が望む方向には進みそうにない。理由は簡単で、現在の指導者ライセンス制度を作り、維持している人、自らライセンスを取得した人たちが日本サッカー協会で要職を占めているからだ。

 それでは、本田が毀誉褒貶を恐れず自分の意見を明確に発信することをどう捉えるか――。

 同調圧力が強い日本では、不快感を覚える人もいるだろう。その一方で、勇気ある発言や行動に熱い拍手を送る人も少なくない。

 個人的には、最低限のTPOはわきまえるという前提ではあるが、あえて波風を起こし、議論をする機会を提供することは、とりわけ日本のような社会では一定の意義があると考えている。

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