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相次ぐJリーガー不祥事 「ブラジル人選手のトラブルをどう防止する?」クルピ、代理人らに聞く
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGetty Images
posted2020/11/10 11:01
Jリーグで立て続けに起こった所属選手の不祥事。セレッソなどで指揮を執ったクルピ氏らに意見を聞くと……
両国の仕組み、習慣を理解しないと
――日本で問題を起こすブラジル人選手がなぜこれほど多いのでしょうか?
クルピ:ブラジル人選手の多くは貧しい家庭の出身で、家庭と学校での教育が十分でないことが多い。また、ブラジルと日本では社会の仕組み、人々のメンタリティ、習慣などが著しく異なる。その違いを良く理解していないと、トラブルを起こしかねない。
レナト:ブラジルの小中学校では日本のように道徳の時間がなく、ルールを守ることの重要さもきちんと教えないことが多い。
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選手の親も生活の余裕がなく、家庭での躾がおざなりであることが多い。
橋本:選手に限らず、ブラジル人の中には「ルールを破ってもバレなければいい」と考える者が少なくない。
日本でもブラジルでも、社会でやっていいことといけないことはほとんど差がない。しかし、実際に法律がどこまで厳格に適用されるかがちょっと違う。
ブラジルの有力クラブはたいてい警察、法曹界、政界とパイプがあり、クラブ関係者が何かトラブルを起こしても関係部署に手を回して表に出ないようにすることがある。
例えば、僕が一時在籍したコリンチャンスにはクラブ役員に警察出身者がいたから、誰かが問題を起こしても一切表に出なかった(笑)。
日本ではそんなことはありえない、というところから選手に理解させる必要がある。
そもそも、飲酒は害になる
――問題を起こしやすい選手、起こしにくい選手は?
橋本:一般に、独身の選手は暇があると外出することが多い。また、故障や体調不良などで活躍できないと、私生活が乱れることがある。
一方、既婚の選手は家族と過ごす時間が長いから、トラブルを起こす可能性が低い。選手の能力が同じなら、代理人としては家族持ちの選手、酒を飲まない選手を推薦する(笑)。
クルピ:家庭と学校できちんとした教育を受けた選手、プロとしての自覚を備えた選手は問題を起こしにくい。
そもそも、飲酒はアスリートにとって害になる。自らのキャリアを真剣に考える選手は、飲酒を控える。