ツバメの観察日記BACK NUMBER
神宮の珍事で嵐ファンと野球ファンが“場外乱闘”? 次々起こる“事件”経て、なぜか「アラフェス2020」観ることに
posted2020/11/03 11:00
text by
長谷川晶一Shoichi Hasegawa
(やっぱり、そうか……)
フリマアプリ「メルカリ」にアクセスしたときの感想だ。そして予想外だったのは、「ソレ」が数万円の高値で取引され、多くのアイテムに「SOLD」の文字が記されていたことだった――。
2020年10月24日、神宮球場で行われたヤクルト対中日第22回戦。先発した小川泰弘の好投もあって、9対5とヤクルトが快勝したこの日、実は二度の試合中断があった。一度目は、ヤクルトが7対2とリードして迎えた6回表、中日の攻撃中のこと。マウンド上には小川、打席にはプロ2年目、中日の滝野要が立っていた。
ここで滝野は待望のプロ初安打を放つ。それと時を同じくするようにしてレフトスタンド後方から何発もの花火が打ち上がったのだ。それはまるで、滝野のメモリアルな瞬間を祝福するような花火だった。しかし、花火の煙が風にあおられてグラウンド内に広がり、気がつけば球場上空は白煙に覆われ、一瞬で視界不良となる。視界が晴れるまでおよそ1分ほどの中断となった。
煙の次は「未確認飛行物体」がワラワラ?
二度目の中断劇は7回表のこと。中日・阿部寿樹がヒットを放って中日のチャンスが広がった場面で、今度は色とりどりの風船が同じくレフト後方から一斉に宙を舞い、やはり風に流される形で神宮球場に流れ込んできたのだ。当初はあまりにも距離があったため、それが「風船」だとはわからず、無数のシャボン玉のような「未確認飛行物体」がワラワラとこちらに近づいてくるのが不気味だった。
それが「風船」だと理解するが早いか、観客席から確認できただけで、赤、青、紫、黄、白の風船が神宮上空を覆い尽くした。打者がフライを打ち上げれば直撃するのではないかという大量の風船の飛来により、二度目の中断となった。
花火が夜空を彩り、風船が乱舞するたびに、神宮球場を訪れた観客はどよめき手元の携帯電話で動画を撮り始めた。その画像や映像はすぐにSNSにアップされ、一気に日本中、いや世界中に拡散されることとなった。これが、あの日、神宮球場で起きた顛末である。