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ドジャース優勝だけど…「ファーム生え抜きが少ないのに強かった」レイズの“チーム構築術”
posted2020/10/28 14:20
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph by
Getty Images
ドジャースが1988年以来の優勝を決めた今年のワールドシリーズ(WS)。ハイライトは幾つもあるが、「もっとも印象に残る試合」となると、10月24日土曜日に行われた第4戦ではないかと思う。
4回裏、レイズのアロザレナがドジャースの先発左腕ウリアスが投げた時速153キロの速球を完璧に捉えて、中越え本塁打にした。前夜の最終打席に続く、ポストシーズン9本塁打目。それは2002年のボンズ(ジャイアンツ)、2004年のベルトラン(アストロズ)、2011年のクルーズ(レンジャーズ)、そして今年のナ・リーグ優勝決定シリーズMVPで、WSの対戦相手ドジャースのシーガーの8本塁打を上回る単独記録の樹立だった(アロザレナは第7戦でもソロ本塁打を放って記録を更新)。
アロザレナはその試合、6対7と1点を追う9回2死一塁から四球を選ぶと、次打者フィリップスの中前打を相手の中堅手がグラブに弾く失策を犯したことで、一気にホームまで激走。三塁ベースを蹴ったところで転倒しながらも、本塁への送球を捕手が捕り損ねる幸運もあり、頭から滑り込んで逆転サヨナラ勝ちのホームを(文字通り)手にした。
レイズ先発は、10人中7人が「トレード」でやって来た
激走のアロザレナと、殊勲打のフィリップス。彼らは二人とも、レイズの「ファーム生え抜き」ではなかった。キューバ出身のアロザレナはメキシコへ亡命後、「ドラフト外」でカージナルスに入団。フィリップスは2012年のドラフト6巡目(全体189位)でアストロズに入団、それぞれ違う「トレード」で今年、レイズにやって来た選手である。
実はWS第4戦のレイズの先発メンバー(先発投手を含む)10人中7人が「トレード」でやって来た選手で、途中出場の選手たちもほとんどが「ファーム生え抜き」ではない。彼らの打順と試合に出場した順番に従って、レイズが彼らを獲得した方法を列記するとこうなる(カタカナばかりでややこしいので、交換要員の名前はあえて書かない)。
「1番・一塁」ディアス/2018年の「トレード」(インディアンス)
⇔デビュー直後の有望株一塁手と金銭(3チームの取引)
「2番・DH」アロザレナ/2020年の「トレード」(カージナルス)
⇔2018年のドラフト全体16位のマイナー投手と18歳のマイナー捕手
「3番・三塁」ブロソー/2016年「ドラフト外」
「4番・左翼」マーゴット/2020年「トレード」(パドレス)
⇔2019年に20セーブを挙げたベテラン救援投手
「5番・二塁」ロウ/2015年「ドラフト」3巡目(全体87位)
「6番・遊撃」アダメス/2014年「トレード」(タイガース)
⇔当時のエース、デイビッド・プライス(現ドジャース)
「7番・右翼」レンフロ―/2019年「トレード」(パドレス)
⇔32歳のベテラン外野手と26歳のマイナー内野手
「8番・捕手」ズニーノ/2018年「トレード」(マリナーズ)
⇔23歳のマイナー外野手と2018年に40盗塁の中堅外野手
「9番・中堅」キアマイアー/2010年「ドラフト」31巡目(全体941位)
「先発」ヤーブロー/2017年「トレード」(マリナーズ)
⇔2016年、30試合に先発した28歳の左腕投手