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ドジャース優勝だけど…「ファーム生え抜きが少ないのに強かった」レイズの“チーム構築術”
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byGetty Images
posted2020/10/28 14:20
2勝3敗で迎えたワールドシリーズ第6戦。3-1でドジャースが勝利し、レイズは優勝を逃した
「救援」トンプソン/2018年「ルール5ドラフト」(アストロズ)
⇔「プロテクト・リスト」から外れた選手を「現役ドラフト」
「救援」フェアバンクス/2019年「トレード」(レンジャーズ)
⇔25歳の新人内野手
「救援」カスティーヨ/2014年「ドラフト外」
「救援」ループ/2020年「フリーエージェント(FA)」(パドレス)
「救援」アンダーソン/2019年「トレード」(マーリンズ)
⇔22歳のマイナー外野手と中堅の救援投手
「救援」カーティス/「FA(マイナー契約)」(フィリーズ)
「代打から左翼」メドウズ/2018年「トレード」(パイレーツ)
⇔当時メジャー54勝の先発投手。
「代走から三塁」ウェンドル/2017年「トレード」(アスレチックス))
⇔22歳のマイナー捕手
「代打から一塁」崔志萬/2018年「トレード」(ブルワーズ)
⇔28歳の中堅内野手
「代走から右翼」フィリップス/2020年「トレード」(ロイヤルズ)
⇔23歳のマイナー遊撃手
メジャーリーグ(MLB)で「トレード」が頻繁に行われているのは、以前のコラム(MLB独特の大胆なトレード戦略)などで何度もお伝えしているが、レイズもまた「トレード」を有効活用している球団だ。
それが「ドラフト」だろうが、「ドラフト外(MLBではアマチュアFAと呼ぶ)」だろうが、「ファーム生え抜き」が大勢いた方が選手の年俸総額は安く抑えられるのでは? と思ってしまうが、「トレード」で獲得した選手が主力に多いレイズの年俸総額はMLBで下から3番目(28位)の約6900万ドルなので、どうやら実情は違うようだ。
トレードで獲得したほうが安上がり?
たとえばWS優勝のドジャースは、左腕カーショウを筆頭に、ナ・リーグ優勝決定シリーズMVPのシーガー遊撃手、2019年のナ・リーグMVPのベリンジャー外野手、第3戦で勝利投手になった先発ビューラー投手、一発長打のペダーソン外野手、勝負強いスミス捕手と「ドラフト」からの「ファーム生え抜き」がレイズより多く、抑え役のジャンセンや救援バイエスは「ドラフト外」から主力に成長した選手たちだ。彼ら8人の年俸だけでレイズの年俸総額の約6900万ドルを上回る7765万ドル前後に達する計算だ。そこにFAや「トレード」で加入後に契約延長した選手たちの高額年俸が加わるのだから、ドジャースの年俸総額がMLB全体2位の約2億2000ドルになっても驚きはないだろう。