酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
ドラフト会見密着! 広島ドラ5・行木俊&巨人育成・戸田懐生は安堵、指名漏れ3人は…独立L徳島の悲喜
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2020/10/28 11:00
見事NPB球団の選手となった行木俊(左)と戸田懐生。ドラフトは悲喜こもごもである
阿部二軍監督の笑顔と戸田の安堵
小休止の後、今度は育成ドラフト。球団名がアナウンスされ、選手名が呼ばれる。同じことの繰り返し。指名間違いなしと言われた戸田の名前は育成になっても呼ばれない。そのうち「指名終了」になる球団も出てくる。巨人の原辰徳監督など本指名が終わると会場を後にする幹部もいて、閑散とした会議室が映される。
みんながじりじりしはじめたころに「讀賣、戸田懐生、投手、徳島インディゴソックス」というアナウンス。育成7位での指名だった。巨人の阿部慎之助二軍監督が笑っている。
戸田はうれしいというより「ほっとした」という表情をした。プレッシャーは相当のものだったのだろう。
次々と球団が育成指名も終了、最後は例年通りソフトバンクと巨人が残ったが、8時を過ぎて両球団も「指名終了」。徳島インディゴソックスで調査書をもらった5人のうち、指名されたのは2人だけだった。
実績だけでなく、時価や運もある
その後2人による記者会見が行われた。筆者は南社長に「先日、誰に話を聞くべきかとお聞きしたら、戸田選手と行木選手の2選手の名前を挙げられました。勝算があったのですか?」と聞いた。
南社長は「戸田は今年のエースですから、指名される確率が高いと思っていました。行木は去年は投げていませんが、ここへきていい投球をしていたので可能性があると思いました」と話した。
そうなのだ。ドラフト指名は、その選手の「キャリア」「実績」に加えて「時価」も加味されるのだ。
今年のドラフトでも、もっと上位で指名されておかしくない投手が故障で下位指名になったり、これまでほとんど試合に出なかった選手が、最近の活躍で上位指名されたりしていた。
今年はコロナ禍ということもあり、単なる実力だけではなく「旬の時期にたまたまスカウトの目に留まる」という「運」の要素も大きい。
もう1つ言えば、戸田は150km/hの球速もあり、考え方も20歳とは思えないほどしっかりしているが、上背が170cmほど。投手としては184cmの行木により可能性を感じてしまうのは仕方のないことかもしれない。