アクリル板で仕切られた席に座って

　南社長は5人の選手一人ひとりにブルーの新しいネクタイを手渡した。晴れの舞台に臨む選手へのはなむけか。みんな散髪したてのとんがった頭をしている。高校を出たての若い選手もいるが、ネクタイを結べない選手はいない。独立リーグではセカンドキャリアも考えて、社会人としての教育もするのだ。

　5人の選手がアクリル板で仕切られた席に座る。広報によれば今年はソーシャルディスタンスを取るために、メディアとの距離を去年より空けているのだという。

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　午後5時にドラフト会議の中継が始まった。ここから最後の指名選手が決まるまで、みんなで大型モニターを凝視するのだ。

真ん中に座った戸田が「本命」と

　衆目の一致するところ、今年の徳島のエースは戸田懐生だった。

　東海大菅生を中退し、KTCおおぞら高等学院を卒業して2年目。1年目は救援で投げて1勝0敗5セーブ、防御率0.00．2年目は先発で116.1回を投げ9勝5敗、防御率1.44。野球雑誌のドラフト特集でも四国を代表する投手としてたびたび取り上げられた。彼が5人の真ん中に座っているのは、「本命」だという意味もあろう。

「夕方のニュースに間に合うように、本指名が終了したら指名された選手の短い会見を先にやります。育成指名と合わせた会見は最後にもう一度やります」と広報が言う。

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