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選挙はともかく腕前ではトランプに軍配? 歴代アメリカ大統領とゴルフの深〜い関係
 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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posted2020/10/29 06:00

選挙はともかく腕前ではトランプに軍配? 歴代アメリカ大統領とゴルフの深〜い関係<Number Web> photograph by Getty Images

迫るアメリカ大統領選、ゴルフのハンデキャップではややトランプ氏が有利なようだ

安倍前首相との懇親ラウンド

 そして、この4年間のトランプ政権も過去に負けず劣らず、ゴルフの話題は豊富だった。

 日本人になじみ深いのが、安倍晋三前首相と重ねた懇親ラウンド。大統領就任直後の2017年2月、首脳会談の翌日にフロリダのコースをはしごしてプレーした。

 大統領が初来日した同11月には東京五輪の会場でもある霞ヶ関カンツリー倶楽部でラウンドした。「実はその春に一緒に回るというウワサがあった」と明かしたのは、その2サムに加わった松山英樹。彼にすれば、トランプ氏はPGAツアーの会場で見慣れていたこともあり、初対面の首相のほうに緊張したらしい。

 直後にゴルフの様子を日米関係の綱引きに例えるような報道も目にしたが、「そういう感じじゃなかったんだよなあと思います。政治のことは、とりあえず置いておいて、まずはゴルフを楽しもうという雰囲気だった」と回想した。“ゴルフ外交”は翌年も実施され、19年5月には松山に代わって青木功も引っ張り出された。

ゴルフ場オーナーとして有名だったトランプ

 ただし、トランプ氏は政治家になる前から、私人としてゴルフ界に深く関わってきた。大富豪として国内外にゴルフ場を所有しており、先述の松山のようにプロゴルファーからすれば、いくつかの試合会場のオーナーのひとりとして馴染みがあった。自前のヘリコプターで大会中のコースに颯爽と降り立つ姿は風物詩のようでもあった。

 振り返れば前回の選挙前、ゴルフ界の雰囲気は少々ピリついていた。選挙活動中のトランプ氏の“差別発言”に注目が集まり、各団体のトップは態度を明確にする必要があった。

 なかでもPGAツアーは、フロリダ州マイアミ近郊のトランプ氏所有のコースで行われていた世界選手権シリーズ・キャデラック選手権の会場を、スポンサーの意向をふまえて17年からメキシコに移した。また同じ頃、セントアンドリュースを含む英国の名門コースを数年おきに巡る全英オープンも、14年にトランプ傘下に入ったスコットランドのターンベリーを開催ローテーションから外した。

 だが“まさかの”当選以降、米ゴルフ界とトランプ氏の間柄は、さっきまでのいざこざがなかったかのように、蜜月の関係性に成り代わった。PGAツアーのコミッショナーがフロリダの一件があった当時のティム・フィンチェムから、大統領就任の同時期にジェイ・モナハンにスイッチしたことも作用しただろうか。会場のカムバックこそないが、不協和音は穏やかに。USGA主催の17年・全米女子オープンは所有コースで無事に行われ、22年には全米プロも開かれる。大統領自身もトッププレーヤーとのラウンドも重ねて親交を深めている様子だ。

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