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選挙はともかく腕前ではトランプに軍配? 歴代アメリカ大統領とゴルフの深〜い関係
posted2020/10/29 06:00
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph by
Getty Images
ドナルド・トランプ「2.8」vs.ジョー・バイデン「6.3」
目前に迫った米大統領選挙における両候補の支持率でも、当選に関するオッズでもない。こちらは、いくつかのニュースサイト(Golf Channel、Golf Digest)から拝借した、それぞれの(ベストと思われる)ゴルフのハンデキャップである。
支持率などとは違い、こちらの数字は少ない方が優れている。そこから言うと、ゴルフの腕前で言えば、現職の大統領のほうが上のよう。
まあ、トランプ氏の場合、スポーツライターのリック・ライリー氏による2019年の書籍『Commander in Cheat: How Golf Explains Trump(イカサマ司令官:ゴルフが物語るトランプ)』では、「ズルばっかりするから、このハンデは疑わしい」と痛烈に批判されてもいるだけに信憑性は定かではない。前副大統領も77歳とより高齢で健康状態が心配されるが、直接対決でもあれば、そこそこの見世物になりそうだ。
アイゼンハワー、ケネディ、ブッシュ、クリントン
両候補に限らず、そもそも米国の大統領とゴルフ界はかねて深いつながりがあった。
大のゴルフ好きで知られたのは1950年代のドワイト・D・アイゼンハワー大統領。マスターズの会場、オーガスタナショナルGCのメンバーで、在任中は当地に各国の首脳を招いて会談も行ったという。17番ホールに立つ大木を「邪魔だから切れ」という国家元首の要求を突っぱねたアイク・ツリーの逸話は、クラブの威厳を保つものとして今も残る(木は2014年に大雪をきっかけに倒れ、伐採された)。
不安を抱えていた心臓への負担を少なくするべく、グリーンにのったら「すべて2パットにする」というアイク・ルールも有名だ。「アイゼンハワーはゴルフをやりすぎ」と政権を批判していたのちのジョン・F・ケネディ大統領も、かなりの腕前だったとか。
親子2代にわたって巨大国家のリーダーを輩出したブッシュ家は古くゴルフ団体との縁があった。第41代大統領ジョージ・H・W・ブッシュの祖父と父はかつて全米ゴルフ協会(USGA)の会長だった。目下、のちにゴルフ殿堂入りした大統領はアイゼンハワーと彼だけ。第43代のジョージ・W・ブッシュもゴルフを通じた青少年育成プログラムなどをサポートしている。
ビル・クリントンは自身の基金がPGAツアーの大会名に入ったこともあった。任期中の1994年には、2年に1度の世界選抜と米国選抜の対抗戦・プレジデンツカップがスタート。ジェラルド・R・フォード以降、歴代大統領が開催ごとに大会名誉会長を務めている。