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丸山茂樹「僕は失敗してしまったから」 “憧れる後輩”に託す思いとタイガーとの秘話
posted2020/10/01 17:00
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph by
Asami Enomoto
丸山茂樹は幼い頃、七夕の短冊にこう願いをしたためていた。
「身長が170cmになりますように」
父の教えで始めたゴルフでめきめき力をつけていた少年時代。当時は今ほどパワーゲーム全盛の時代ではなかったにせよ、アスリートは体が大きいのに越したことはない。
「親父は164cm、お袋は144cm。両親を見て、どう考えても自分がデカくなることはないと。実際に丸山家で170cmにいったのも、(息子の)奨王が初めてで」
中学に入学したときは142cmだった。高校入学時も160cmに届かなかった。願い叶わず、選手としては日本ツアーに169cmで登録されている(PGAツアーでは5フィート7インチ=170cmなのだが)。
「陸也のポテンシャルには憧れる」
そこへ来ると、彼の体格は丸山自身、羨むものでもある。9月の国内ツアー、フジサンケイクラシックで通算3勝目を挙げた星野陸也は、街中で群衆から頭一つ抜けた長身が目立つ186cm。小学校卒業前には160cm、中学3年時に180cmに到達したというから、「陸也のポテンシャルには憧れる」と言われるのも無理はない。
丸山にとって、この24歳は日大の後輩にあたる。実際のところ星野は2年時に中退してプロ入りしたのだが、当時からその名前はOBの間で知れわたっていたそうだ。直後のツアーの予選会をぶっちぎりでトップ通過し、ルーキーイヤーに軽々とシードを獲得。実質2年目の2018年9月に初優勝を飾った。
長く伸びた四肢をフルにしならせて空気を割く。300ヤードを越えるドライバーショットが何よりの魅力。「ショートゲーム、パッティングも良くなってきた」と丸山から評されるほど、オールラウンダーとしての期待感が大きい。