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<菊花賞>初の父子牡馬3冠なるか コントレイル、“偉大な父”ディープインパクト超えへ不安は?
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKeiji Ishikawa
posted2020/10/20 17:03
ネコのように前脚を伸ばすコントレイル。調教前のストレッチはモーニングルーティンとなっている
実際、コントレイルの神戸新聞杯出走時の馬体重は、ダービーのときと同じ460kg。
矢作師が「人間より賢いと思うこともある」と言うコントレイルは、レースが近づくとそれを察知してカイバを食べる量をコントロールして自分で体をつくる。
コントレイルは“偉大な父”ディープを超えられるか
ディープインパクトは新馬戦が最高馬体重で、最後から2戦目のジャパンカップが一番軽かった。ディープ・コントレイル父仔には「成長曲線」という表現は当てはまらないのかもしれないが、外観には現れない部分で成長を遂げて、キャリアを重ねるたびに強くなるところは共通している。
ディープは鹿毛、コントレイルは青鹿毛と毛色こそ異なるが、馬体重がディープは最高でも452kg、コントレイルが462kgとそう重くならないところも、額の星も、そして、よく寝るところも、牡馬にしては品よく静かにカイバを食べるところも、そして何より突出した競走能力を持っているところも、この父仔はよく似ている。
コントレイルにとって、今回初めてレース後大山ヒルズに放牧に出されず、栗東トレセンに在厩したまま調整されることになった。それでも、矢作師によると、レースのあと少しリラックスしてから調教をこなし、またレースがあるというサイクルを馬が理解しているというから心配ないだろう。
ディープインパクトは7戦7勝で菊花賞を制し、1984年のシンボリルドルフ以来21年ぶり、史上2頭目の無敗の三冠馬となった。
コントレイルも菊花賞が7戦目となるのだが、この馬の過去6勝には、皐月賞、ダービーの春二冠のほか、2歳時のホープフルステークスが含まれている。
ディープは菊花賞がGI3勝目だったが、コントレイルは勝てば、GI4勝目となる。競走馬としても種牡馬としても、日本の、そして世界の競馬界にその名を轟かせた偉大な父に並び、そして追い越せるか。
10月25日午後3時40分。新たな伝説へのゲートが開く。