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リバプール“10年無敗”のマージーサイドダービー 首位エバートンに逆襲チャンス到来
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph byGetty Images
posted2020/10/17 11:01
両軍の本拠地の距離は歩いて15~20分程度。“ご近所さん”のリバプール相手にエバートンはアンフィールドで久々の勝利となるか
リバプールの懸念も同じく守護神?
2週間を挟んで迎えるダービーマッチはチームの修正力が試される。
ロベルト・フィルミーノはボリビア戦で2ゴール、ディオゴ・ジョタはスウェーデン戦で2G1Aの活躍を見せた。代表ウィークでのコンディションをリバプールに還元できるか。
キャプテンとマネ、新戦力のチアゴ・アルカンタラと頼もしい顔ぶれがピッチに戻ってくる。ただ新型コロナ陽性の報道が出ているナビ・ケイタ、そして肩の負傷のアリソンは欠場の可能性が高い。
となれば代役はアドリアン。リバプールにとってもここが懸念材料になる。彼はゴールキーパーとしての実力は申し分ないが、アストンビラ戦ではパスミスから失点を献上。昨季のCLアトレティコ戦でも見せたビルドアップでの不安は拭えない。軽率なミスから歯車が狂うシナリオも考え得るわけだ。
なにより相手は首位の好調エバートン。リーグ最多タイの12ゴールを挙げる攻撃陣を軽んじることはできない。過去10年負けてはいないが、過去10年で間違いなく一番強いエバートンだ。
煽りの声がない「The Friendly Derby」に
かつてはThe Friendly Derby(フレンドリー・ダービー)ともいわれていたマージーサイド・ダービー。実際アンフィールドに赴いた際は、エバートンファンの集団が大勢の警備員に囲まれてスタジアムまで向かったり、スタジアム内も異様な雰囲気で、日本人からしてまるでフレンドリーといえる空気感ではなかったが。サポーター間の暴力沙汰は少ないので、健全なライバルということだろう。
近年は実力、実績ともに白黒ハッキリしているだけに、リバプールファンも負けることはないと思っているかもしれない。
ただ今季は違う。首位エバートンと王者リバプール。互いに守るものを抱えながら戦うダービーマッチは、近年で最高の戦いになるに違いない。
エバートンの前回勝利からちょうど10年の10月17日、グディソン・パークで今季最初のマージーサイド・ダービーを迎える。無観客での開催ゆえに、アウェイスタンドから”Haven’t won a trophy since 1995”の煽りが聞こえることもない。
それでも、スタンドにチャントが響かなくとも、互いのライバル意識に拍車をかけるほどの熱い試合がきっと見られるはず。
マージーサイド・ダービーの新たな歴史はここから始まる――。