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笑顔と「サンキュー!」と努力は続くも…渋野日向子、全英制覇の意識を「もう捨てていい」
text by
南しずかShizuka Minami
photograph byAP/AFLO
posted2020/10/13 11:01
米国遠征4試合目となる全米女子プロ選手権で58位タイに終わった渋野。悔しい思いを胸に日本へ帰国する
「サンキュー!」を忘れない渋野
強くなるために、努力を惜しまない。その一方で、変わってないこともあった。
選手のティーオフ前、片平はティーイングエリアからちょっと離れた木の下にひっそり待機している。選手の集中力を邪魔しないように、という配慮である。ところが渋野は、ちょっと遠くからでも片平を見かけると「おはようございます。今日も宜しくお願いします」と自ら挨拶を欠かさなかった。
日々のオンライン取材でも、画面越しに、記者の目を見て、1つ1つ丁寧に答えた。取材が終わると、成績の良し悪しにかかわらず、両手を振って「ありがとうございました!」と笑顔を見せた。取材を仕切ってくれた米ツアー広報にも「サンキュー!」を忘れない。
誰にでも公平で思いやりのある人柄は、昨年の全英女子で優勝する前と変わっていなかった。
アメリカでの悔しさはアメリカで
渋野は、これから帰国する。
まず日本でしたいことは? という筆者の問いに「お母さんのご飯をすごく食べたいです。あと、自分の布団で寝たいです。目覚ましかけないで(笑)」と渋野らしいユーモアな返しだった。
そして、国内で試合に出場予定である。その傍ら、出場を表明している12月の全米女子オープンに備えて、出来る限りの練習を重ねる。
「アメリカツアーでの悔しい思いは、日本で戦っていても、なかなか消えるものじゃないと思うので。アメリカでの悔しさは、アメリカで返さなきゃいけないなと思います」
この海外遠征で、メジャー覇者に相応しいゴルフがしたいと強く思うようになった。プロ本格参戦2年目の21歳は、上だけ目指して、愚直に頑張る。