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1つ1つ、着実に…三原舞依が1年半ぶりに実戦リンク復帰「すごく、ただいまという感じです」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byKiyoshi Sakamoto
posted2020/10/12 17:00
566日ぶりの競技会復帰となった三原。2017年には四大陸選手権を制している
それでも、三原には支えがあった
「滑り切れて、よかったなという思いが頭の中にいっぱいありました」
ショート同様、笑顔の三原の言葉は、時間の重みが込められていた。
2019年3月、ユニバーシアード冬季競技大会から帰国した直後に出場した「PIフリースケーティング大会」以来の試合のリンクだ。試合だけではなく、滑ることができなかった期間も長い。
ようやく練習を再開できる頃になって、新型コロナウイルスの影響によりリンクが閉鎖。氷に乗れない時間は、さらに長くなった。
焦燥感に駆られたり落ち込んでも不思議はない。それでも、三原には支えがあった。
「やっぱりスケートが大好きって思いは変わらなかったです」
「苦しいこともたくさんあった」
だから、目線は変わらなかった。
「氷の上に、少しでも早く立てるように、ということだけ考えて毎日を過ごしていました」
自宅にいながら、リンクに立つ日だけを考え、立つために必要な努力を重ねた。
「柔軟はどんなときでも毎日やっていて、体幹トレーニングも、ほんとうに基礎なんですけど、筋肉をいちから作り直さないといけないので」
「苦しいこともたくさんあった」と振り返る。でも、「ほかの選手の皆さんよりもやってこなかったことが多いと思うので」、地道に取り組んだ。自粛期間もそのための大切な時間だと考えた。
そうして迎えたのが、近畿選手権だった。
「コンディションは、2年前とはまたぜんぜん違う感じです」
三原本人が語るように、土台となる体力は本来のところまで戻っているわけではない。ジャンプの構成もまた、本来のレベルとは異なる。