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1つ1つ、着実に…三原舞依が1年半ぶりに実戦リンク復帰「すごく、ただいまという感じです」
posted2020/10/12 17:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Kiyoshi Sakamoto
その瞬間、ささやかな、でもはっきりとした温かさの輪郭を持つ拍手が起きた。
10月2日から4日にかけて行なわれたフィギュアスケートの近畿選手権。無観客で実施された大会の中、演技を終えた三原舞依に対する関係者の拍手は、心からの祝福であるようだった。
昨シーズン、体調不良によりシーズンを通じて欠場。1年半ぶりの実戦だった。
「絶対できる。最後まで笑顔で」
3日のショートプログラム、中野園子コーチに背中を押されて送り出される。
フリーはローリー・ニコルによる振り付け
曲は『イッツ・マジック』。冒頭のトリプルルッツ-ダブルトウループ、2つ目のジャンプのダブルアクセルを着氷。トリプルループは乱れもあったが、こらえた。
演技を終えた三原は、笑顔だった。
得点は59.69点。3位で臨んだ翌日のフリーは、ローリー・ニコルによる振り付けの『フェアリー・オブ・ザ・フォレスト&ギャラクシー』。昨シーズンのために準備していたプログラムだ。三原が憧れる浅田真央の数々の振り付けでも知られるローリー・ニコルだけに、三原も思い入れは強い。
ピンクのショートとは一転、緑の衣装をまとう。
冒頭のトリプルルッツ-ダブルトウループ-ダブルループを着氷。続くダブルアクセルも着氷。
トリプルフリップの着氷が乱れるなどはしたが、目を惹いたのは、伸びやかなスケーティングと力強さも感じさせる滑りだった。
フリーは113.69点、合計173.38点。総合3位で、復帰戦を飾った。