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久保建英もまずまず…森保J、カメルーン戦が物足りなくも「価値があった」理由と3バックの意味
posted2020/10/10 13:35
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
JFA
見せ場の多い内容ではなかった。細部に目を凝らしていくと、物足りなさが募るのも事実である。それでも、10月9日に行なわれたカメルーン戦が、日本代表にとって意味を持つ試合だったのは間違いない。
2020年初の活動で、海外組を含めて日本代表が編成されるのは、昨年11月以来およそ11カ月ぶりだ。選手によっては空白期間がさらに長い。所属クラブとは違うシステムで戦う選手もおり、十分なトレーニングを積んで臨んだわけでもない。試合内容を評価するにあたって、差し引いて考えなければならない要素はあったはずだ。
何よりも、新型コロナウイルス感染拡大の影響で止まっていた時間を動かし、来年から始まるカタールW杯2次予選へ向けた準備に取り掛かることが、今回のカメルーン戦の第一義的な意味だったのである。
カメルーンの「パスワークとタテへの鋭さ」に苦戦
史上初のオール海外組による編成が話題になっているが、カメルーンにも触れるべきだろう。
森保一監督の指揮下でアフリカ勢と対戦するのは、今回が初めて。しかも、日本国内に招いてのテストマッチではないため、カメルーンはコンディションが良かった。ポルトガル人のダシルバ・オリベイラ監督は「最後の15分から20分は疲れが見えた」と振り返ったが、経験のある選手と国際Aマッチデビューの選手がミックスされたチームは、このタイミングでは申し分のない相手だったと言っていい。「アフリカの、良いコンディションのチームと試合ができたのはとても意義がある」と吉田麻也も話している。
前半は「4バック」と、使い慣れたシステムだったが、守備から攻撃の切り替わりでボールをすぐに失うことが多く、森保監督が求める連係や連動が敵陣で生まれない。散発的にシュートを放つものの相手守備陣を脅かせず、むしろカメルーンのパスワークとタテへの鋭さに慌てさせられた。
伊東の「突破力」と、3バックの「対応力」が光った後半
後半開始とともに、森保監督はシステムを「3バック」に修正する。攻撃時は3-4-2-1の立ち位置を取り、守備時は5バックに可変することで、とくに左サイド深くまで侵入された前半の構図を変えていった。前半に比べると意図的なボール奪取も増え、後半開始から右ウイングバックで出場した伊東純也の突破力が、攻撃に勢いをもたらしていく。
右から酒井宏樹、吉田、冨安健洋が構成した3バックは、球際のバトルで優位に立ち、後半の戦いぶりを安定させた。所属クラブで磨かれてきた彼らの対応力は頼もしく、3バックの奮闘こそは無失点の裏付けである。