酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
ドラフトの大穴!? 独立Lの右腕・片岡篤志が覚醒!「夢を見るのは今年で最後です」
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2020/10/12 11:01
独立リーグ堺で剛球を投げ込んでいる片岡篤志。彼の名がドラフト会議で呼ばれたら、野球ファンも衝撃を受けるだろう
堺でリリーフを任され、防御率1.29
しかし新型コロナ禍で、独立リーグも試合数が削減され、今年の片岡の登板は1試合だけ。1四球1死球を与えたものの無失点。そこで、別の独立リーグである「さわかみ関西独立リーグ」の堺シュライクスに移籍した。
「僕から申し出て退団しました。香川をやめるときに同僚や先輩から言われたのは、“お前はもっとアピールできたんじゃないか”ということです。そういわれてみれば練習でもボーっとしているときがあったように思います。“そういう部分を変えないとどこへ行ってもダメだぞ”と言われたので、堺では意識も変えようと思いました」
今度こそ、本当に最後のチャンスのつもりで堺シュライクスに入った。
8月に入団してから、すべて救援で7試合に投げて1セーブ、7回2被安打4奪三振2与四球、自責点1の防御率1.29。ようやく投手らしい成績になってきた。
「藤江均投手コーチ(元横浜、楽天)に“ピンチの場面で投げさせるぞ、そこで1球目から強いボールを投げることができるかだ”と言われて、そこを意識しています。うまくいくときも、そうでない日もあるのですが」
“140km後半”がコンスタントに出る
周囲を驚かせたのは球速だ。176cm81kgの体格ながら、140km/h台後半の速球がコンスタントに出ている。しかも制球力もついてきた。
「MAXは148km/hですが、この球速がコンスタントに出るようになりました。変化球はカーブとスライダー、フォークです。カーブでカウントが稼げるようになりました」
堺シュライクスは、片岡を9月21日に行われた巨人の入団テストに送り出した。テストでは最終まで残ったが、全選手の中でもトップクラスの球速だったという。
「スカウトの方からも声をかけていただきました。自分としては力を出したのですが、シート打撃でカウントを悪くして歩かせるようなこともありました。結局、自分との戦いですね。いまだにいいところを見せようとして力んでしまうことが多いので」